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更新日:2016/2/2
これまでに「今月のご挨拶」に掲載してきました「笑い話」を独立させたものです。
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題しまして、「おおはらい」の一席でございます。
しばらくの間、おつきあいのほど、お願い申し上げます。
大家「熊さん!」
熊 「あ、しまった。見つかっちまった。
大家さん、店賃、もう、ちっと、待っておくんなさい」
大 「店賃の催促じゃないよ。
そう、逃げ腰にならなくてもいいじゃないか。
熊さんも大晦日で忙しいだろうが、ちょっと、頼まれておくれでないか」
熊 「へえ。店賃以外の頼みとありゃ、お安いごようで。
誰かをやっつけちまおうてんですかい?」
大 「物騒だね。そうではないよ。
おおはらいに来る人が少ないのでな。熊さんも夕方、氏神様まで来て下さいよ」
熊 「合点でさ。
どうせ、家にいても、かかあの奴に、ああしろ、こうしろと、こき使われるだけですから」
熊 「おう、ちょっくら、行ってくらあ」
かか「もう、夕方だよ、今時分、どこへ行くんだい」
熊 「氏神様の大掃除を大家に頼まれたんだ」
かか「なんだい、うちの大掃除も、ろくにしないのに」
熊 「なに、こちっとら、自慢じゃねぇが、今年は、一銭もお賽銭を入れてねえんだ。
こんなときぐらい、やらないと罰があたっちまー。
とにかく、はたきと箒を出してくれ」
かか「そんなら仕方ない。早く帰ってくるんだよ。じき、暗くなるから」
熊 「分かってら。子供じゃねえんだ」
熊 「大家さん、遅くなりました」
大 「おう、熊さん。来てくれたかい。ご苦労様。
おや、手ぬぐいで、ほおかぶりして、はたきと箒を持って、大掃除の格好のまま、来たのかい」
熊 「いえね、大はらいと聞いたんで、道具持参でめえりました」
大 「大掃除じゃないよ。おおはらいだよ」
熊 「え、大笑いですか。
みんな、そろって「わはは・・」と笑う、あれですかい」
大 「それは、「笑い講」といって、ところによっては、そういうお祭りがある。そうじゃなくて、おおはらい」
熊 「おおあらい? 大家さんも渋いね。近頃、流行りですよ。
『あー、磯で名所は 大洗さまよ 松が見えます ほのぼのと・・』とくりゃ ♪」
大 「しょうがないね。ここで、踊ってどうするんだい。それは、常陸国、大洗の磯節ですよ。
おおはらい、というのは、みなさんの一年のけがれを神様に払っていただく行事ですよ」
熊 「へー。確かに、ここんとこ、おいら、湯屋にいってねえんで、だいぶ汚れてますが、ここで洗ってもらえるんですかい」
大 「きたないね。体の汚れじゃなくて、心のけがれをはらっていただくと、まあ、こういうことだな」
熊 「それを早く言ってくださいな」
大 「だから、言っているのに」
神主「みなさま、お待たせしました。これより、大祓の儀を執り行います」
大 「あれ、神主さんじゃなくて、息子さんの方ですな」
神 「あのー。親父が風邪をこじらせて伏せっておりますので、申し訳ありません」
大 「それは、ご苦労さま。どうぞ、始めて下さいな」
(神主が地面に切麻(紙を切ったもの)をまく)
大 「おいおい、熊さん。その紙を掃いちゃだめですよ。その紙は、土地を清めるものだからな」
熊 「え、汚しているように見えたけど」
神 「では、続いて、御神酒を四方に撒きます」
熊 「ああ、もったいない」
大 「熊さん。あとで、いただけるから我慢しなさい」
熊 「へー。いただけるんですかい。じゃ、神主さん、ちょびっとずつまいておくんなさいよ」
神 「かしこみ、かしこみ」
熊 「分かってくれたようですよ。かしこまりました、と言ってます」
大 「かしこみ、というのは、神様にかしこまって申し上げるときに言うのじゃよ」
神 「かしこみ、かしこみ、あー。かしこみ」
熊 「だいぶ、かしこまってるね」
神 「おおーい。
おおーい、かあーさん!」
熊 「神様におかあさんを呼び出してくれと言ってますよ」
大 「それじゃ、青森のいたこですよ。変だね」
神 「かあさん! 懐中電灯を持ってきて」
熊 「てんてるだいじん、というから、照らすために使うんですな」
大 「それは、
母 「はいよ(と懐中電灯を息子に渡そうとする)」
神 「渡さないで、照らしておくれよ」
母 「はい。こうかい」
神 「皆様を照らしてどうするんだい」
母 「怪しい人がいるかと思って」
神 「皆様に失礼ですよ」
母 「じゃ、こうかい(と自分の顔を照らす)」
神 「それじゃ、お化け大会だよ。遊んでないで。」
この紙を照らしておくれ」
母 「冗談ですよ。
しょうがないね。だから、父さんがちゃんと暗記しておくようにって」
神 「電灯がついているから大丈夫だと思っていたのに、肝心の電球が切れてしまっていたとは気がつかなかった」
熊 「大家さ~ん。
やっぱり、あっしが言ったように、おおはらいじゃなくて、大笑いだったじゃないですか」
お後がよろしいようで。
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