サーバー用といっても、クライアントは、4台のWINDOWS95マシンであるので、 高性能のパソコンを用意したわけではない。
まず、ハードの選定で悩んだのは、NECの旧98シリーズかNX又はDOS/Vにするかという点である。
これは、NECのパソコンを使用してきた者であれば、新製品の購入の度に常に突き当たる 問題である。
特にサーバー用ということであれば、WINDOWS95のアプリケーションを多く動かすわけでもなく、今後のことを考えると、この際、AT互換機であるNX又はDOS/Vにすることも真剣に検討した。
比較検討した機種は、NECのXa200(旧98シリーズ)、同じくMA23(NX)、エプソン及び コンパック機である。
DOS/V機は、コストパフォーマンスに優れているものが多く、安定性や保守面でも問題も以前ほどないようである。
だが、後述のように周辺機器の移設やマルチブートを考慮して導入したのは、NECのPC9821 Xa200となった。
CPUは、MMXペンティアム200MHz、メモリーは、標準で32MBのところを64MB増設して96MBとした。
また、ハードディスクは、内蔵IDEの約3.2GBに旧98用の緑製のSCSIハードディスク約4GBを外付けして用いている。
これ以外の周辺機器としては、TA(NTT-TEのMN128(初期のもの))、モデム(SONY)であり、外付けHDを含めていずれも従来機種から移設したものである。
このように、マルチブート(98では、パーテーションを分ければ、電源ON時に起動OSを選択できる)、周辺機器、特にHDの移行を優先した結果、旧98シリーズのXa200/W30Rとなった。
同製品は、98/2発表のタイプでOSとしてWINDOWS95をプリインストールしてある。特徴としては、ネットワークとの接続のためのLANボード(10/100Mbps兼用)を実装していることである。(FAXボードはない)
このモデル以外にMS-DOSをインストールしたものもあるが、WINDOWS/NT(以下「NT」という。)は、プラグ&プレイ機能がない(後述のように非公式のものとしてはある)ので、まず、WINDOWS95(以下「95」という。)で動作確認後にNTで使用したいため若干、割高であるが95プリインストールタイプにした。
最後に価格であるが、本体+ディスプレイ(NEC マルチスキャン JC-1574VM)+メモリーで約23万円弱となった。同機能のDOS/V機と比較すると割高とはなったが、インストール及び 稼働面で安定しており、結果としては、成功であったと思う。
なお、見積りをとるにあたってインターネット通販及び大手パソコン店を比較した上で大塚商会から購入した。
同時に保守サービス(出張定期点検サービスは無し)を付加(1540円/月)した。
NTのサーバー版は、秋葉原の「LAOXザ・コンピュータネットワーク館」で購入した。
購入価格は、5クライアントライセンス(CAL)付きで、95,800円(外税:以下同様)であった。
マイクロソフトのソリューションプロバイダ(MSCP)(例えば、前述の大塚商会など)から購入する場合は、マイクロソフト社(MS社)の推定小売価格の前後、当該製品の場合は、 推定小売価格が157,000円(5CAL付き)であるからLAOXの価格は、約4割安である。
なお、推定小売価格とは、オープン価格と同様の意味合いではあるが、MS社が市場を調査したところ分かった価格という意味らしい。
ただし、今回購入した製品は、電話を含めてサポートは、すべて有料となる。
インストールからすべて自分でやる方でないとかえって高くつく場合もあることをお断りしておく。
実際、NTサーバー以外にSQLサーバー、エクスチェンジサーバーやプロキシサーバーを同時に導入する会社が多いと思うのでそれらのインストールや各種設定及びアプリなどを考えるとMSCPから購入する方が割安となるケースも多いと考えられる。
参考までに各製品の推定小売価格は、「日経Windows/NT」(4月号)によると次のとおりである。
・ SQL Server 4.0 = 157,000円(5CAL付き)
・ Exchange Server 4.0 = 168,000円 (5CAL付き)
・ Proxy Server 1.0 = 198,000円 (CAL不要)
なお、多くのCALが必要な場合は、各種の割引制度がある。前述の雑誌に関係記事がある。
また、最新の情報は、MS社のホームページから入手することが可能である。
NTサーバーのインストールの際にライセンスモードの設定画面が現れる。
ここで「同時使用ユーザー数」か「接続クライアント数」かのいずれかのモードを選択する必要がある。
後者は、サーバーに接続されているクライアントの立場で数を数える。接続しているパソコンの台数と考えてよい。
これに対して前者は、サーバー中心に考えて、接続して同時に利用しているパソコンの数を数える。
当教室の場合は、サーバー1台、クライアント4台なのでどちらにしても同一であるが、一般には、サーバーが複数台あるような大規模のLANであれば、「接続クライアント数」モード、それ以外は、「同時使用ユーザー数」モードがよいようである。
なお、インストール後に、「同時使用ユーザー数」から「接続クライアント数」に1回だけ変更することができる。
逆は、できないので、不確かな場合は、「同時使用ユーザー数」モードでインストールしておき、必要な時に設定を変更する方が容易。(変更の場合にMS社に連絡又は許諾を受ける必要はない)
また、紛らわしいがNTサーバー版に含まれているIIS(インターネットインフォメーションサーバー)、前述のプロキシサーバーなどは、CALを必要としない。
CALは、足りなくなったときに単体でも購入することができる。
これがマイクロソフトライセンスパック(MLP)である。NTサーバーの場合は、6,500円である。
製品には、エクセルなどと同様に「ファーストステップガイド」という125ページ程度のマニュアルが付属しているだけなのでMSCPの手を借りずにはじめて自分でインストールする方は、何か他に参考にした方が時間がかからない。
今回のインストール及び設定に当たって筆者が参考にしたのは、工学社の「WINDOWS/NT4.0導入ガイド」(2,500円)とソフトバンクの「WINDOWS/NT 4.0ネットワーク構築ガイド」(3,800円)である。
前者は、NTネットワークを使って仕事をしていく方向けに書かれている。
95のユーザーにも理解しやすいようにNTの成り立ちや思想などにも触れている。
後者は、かなり専門的に書かれていて自身でDNSサーバーを持ち複数のドメインがあるようなネットワーク構築が主体なので、今回のようなSOHO以下といったケースについては、直接、関係がある部分は、少ない。
インストールだけについて言えば、後者の第2章とXa200に付属のNECの「再セットアップガイド」のNT4.0の部分が参考になる。
特に「再セットアップガイド」は、簡潔ながら、わかりやすく書かれている。
また、前述の「日経Windows/NT」は、レジストリの編集やセキュリティ、名前解決などの特集記事が役に立つ。
これ以外にもNT関係の雑誌がいくつもあるのでそれらを参考にされることもよいと思う。
なお、NTのインストールは、SCSIの外付けHDを3パーテーションに分け、第1パーテーションの2GBの領域に対して行った。
一方、内蔵IDEも3パーテーションに分け、WIN95システムとアプリ、教室用データ、会社データの収納用とした。
このようにしたのは、NTのインストールがうまく行かない場合に備えて、従来の95によるピアツウビウLANを使えるよう、起動OSを選択できるようにしたかったからである。
電源投入時に起動OSを選択する画面は、メモリカウントの時点で「TABキー」を押しておくと現れる。
(NECの旧98の場合。WIN95では、自動起動にしない限り起動OSの選択画面が毎回現れるが、NTでは、何もしないと画面は、現れない。)
※ NTサーバーは、既に構築したあるピアツウピアネットワークのハブに接続した
以下、インストールの具体的な手順は、上記の書籍等によるとして、留意点のみ記載しておく。
a)インストールHDの準備
95で起動し、SCSIハードディスクのパーテーション分割(FDISK)とフォーマット(FORMAT)を
行った。
b)セットアップディスクの準備
95のインストールでは、媒体がNEC用とAT互換機用と分かれていたが、NTでは、1種類のCD-ROMの中に98用のフォルダがあることに注意。
CD-ROMは、2枚組でインストールには、1枚目のみを用いる。その他に98用とAT互換機用の各3枚組のFDが付いている。
なお、ここでの98とは、旧98シリーズのことである。
付属の3枚のFD以外に2HDのFDを3枚用意する。いずれも1.2MBの標準フォーマットを行っておく。
さて、セットアップのDISK1を先に用意した新らしいFDにコピーする。これに「DISK1置換版」と記入する。
次に「再セットアップガイド」P88に従って、置換版のアップグレードを行う。途中で新規FDを入れて「NTアップデート」ディスク」作成の指示がある。
3枚目の新規FDは、NTのインストール途中で「システム修復用」ディスクの作成に用いる。
c)SCSIボードの設定
再セットアップガイド等では、プラグアンドプレイのボードは、非プラグアンドプレイの設定に変えてインストールする
ようにとの説明があるが、今回使用した緑電子のSCSI2ボードは、そのままで大丈夫であった。
実は、一度、ボードのスイッチで設定を変えてみたが認識させられなかったので元に戻したという経緯がある。
d)割り込み(IRQ)等の確認
95上のコントロールパネルでNTのインストール上、問題となりそうな周辺機器のIRQ、IO、DMA等をメモしておく。
e)サーバーとなるパソコンの名前とドメイン名
5台目のパソコンとなるサーバーには、9月の異称である「長月」をあてた。
また、ピアツウピアのネットワークでの「ワークグループ名」にあたる「ドメイン名」は、「TOKYO_PAX」とした。
なお、クライアントが95のみからなる今回のネットワークのような場合は、ドメイン名とワークグループ名は、一致している必要がある。
これは、「ネットワーク構築ガイド」のP105に、より正確な説明がある。
ここの説明を十分に理解するためには、NTネットワークにおける「名前解決」や「IPアドレス」について、知る必要があるが、小規模なネットワークにおいては、要は、ドメイン名=ワークグループ名とすればよい。
f)ライセンスモード
これは、前述のように「同時使用ユーザー数」モードとしてその数を5とする。
g)サーバーの種類
サーバーの役割である。「プライマリドメインコントローラ(PDC)」、「バックアップドメインコントローラ(BDC)」並びに「スタンドアロンサーバー」の3種類から1つを選択する。
今回は、当然、PDCとする。
h)IIS(インターネットインフォメーションサーバー)のインストールの有無
イントラネットの利用やインターネットとの常時接続を行わないならば、IISのインストールは、不要である。
今回、インターネットの利用は、ホームページのブラウジングとメールを中心に考えているので、IISは、インストールしなかった。
なお、IISを必要とする場合もセットアップ後に追加インストールが可能なので、なるべく条件を単純にしてインストールしたい場合もIISは、後回しにした方がいいと思う。
i)管理者アカウント
Administrator(管理者)のパスワードは、忘れてしまうとNTの再セットアップという羽目になるので大文字小文字の区別も明確にして予め決めておく。
セキュリティの要となるパスワードなので数字の他に英字、記号を組み合わせる。
j)ネットワークアダプタ
Xa200は、標準でLANボードを実装しているので、ここの設定は、再セットアップガイドに則って行えば簡単である。
k)ネットワークプロトコル
NETWAREを使用しないので、TCP/IPとNetBEUIのみを選択する。
l)サービス
内容が今ひとつ不明なのがサービスであるが、最初に提示される4つのサービスは、必須である。
ただ、追加したいサービスは、インストール後に導入できるので4つのみとする。
m)サーバーとクライアントのIPアドレス
DHCP(IPアドレス=正確には、プライベートIPアドレスをクライアントに割り当てる機能)サービスを組み込まずにTCP/IPのプロパティには、IPアドレスとして、192.168.0.10、サブネットマスクとして255.255.
255.0を割り振る。(これは、クライアント数が250台以下のクラスCである。)
また、各クライアントは、後ほど、コントロールパネル->ネットワークで192.168.0.21から使用する。
このIPアドレスは、必ずしも上記と同一である必要はない。ここでは、日経BP社の「日経Windows/NT」(98/4)のP253において推奨している例にならった。
なお、192.168.0.0や192.168.0.255などは、不可。更に192.168.0.1~192.168.0.9は、ルータなどで使用している場合があるので後日のことを考えると使用しない方がベターであるとのこと。
n)内蔵アクセラレータドライバやSCSIミニドライバのセット
これらは、再セットアップガイド及び緑電子のSCSIボードの説明書に従えば、迷う点はないはずである。
o)サービスパック3
NTのインストールが終了した後にサービスパック3(SP3)のインストールを行う。
サービスパックとは、パグの修正なとが一括して行われるパッチ集のようなものである。
しかし、再セットアップガイドには、このインストールについての留意点の記載があるが、SP3自身は、収録されていない。
SP3は、例えば、前記の日経Windows/NT(4月号)に付録として付いている他、マイクロソフトから有料(1000円)で送付されるインターネットエクスプローラ4.01
SP1(IE4.01SP1)のD-ROMに収録されている。