更新日:2001/3/1
弥生、三月、気候もようやく春めいて参りました。
皆様には、お元気でお過ごしのことと思います。
さて、パソコンも1家に1台の時代から複数のパソコンでネットワークを作る、家庭内ネットワーク(Home LAN)の時代へと移りつつあるようです。
パソコンショップなどでもHUBやLANボードなどネットワークに必要な製品が気軽に購入できる価格で販売されるようになっています。
インターネットをどのパソコンからも利用したいという要求に応えるためには、ネットワーク上のプロトコルとして、「TCP/IP」を使うことになります。
特別の設定がほとんど必要でなかった「NetBEUI(ネットビューイ)」と違ってTCP/IPは、いくつかの設定が必要になります。
まず、基本的なこととして各パソコンには、名前とIPアドレスという番号を割り振ることになります。
IPアドレスは、通常、「192.168.0.8」というような書き方をします。
これは、32ビットの2進数を先頭から1バイトずつに区切って10進数で書き表し、区切りに「.」を入れてわかりやすくしたものです。
32ビットは、2^32ですから約43億の数です。
そのIPアドレスは、インターネット上で固有(世界で1つ)のグローバルアドレスとLAN内で固有なプライベートアドレスに分けられます。
グローバルアドレスは、プロバイダに接続した際に割り振られるもので、ふつうは、接続するごとに異なったものになります。
このグローバルアドレスは、インターネットに接続しているパソコン/ルータ(のインターネット側)に割り振られることになります。
パソコン(またはルータのLAN側)には、プライベートアドレスを割り振っておきます。
前述のようにインターネットでは、TCP/IPという通信規約(プロトコル)を使いますから、インターネットと直接、やりとりができるアドレスは、プロバイダから割り振られたグローバルアドレスのみになります。
しかし、それでは、複数のパソコンから、また、同時にインターネットにアクセスすることはできません。
そこで活躍するのが「NAT」及び「IPマスカレード」という機能です。
NATは、プライベートアドレスをグローバルアドレスとを1対1で相互に変換する機構です。
また、IPマスカレードは、複数のパソコンからの接続要求をNATと同様に処理する機構です。
通常、これらは、「NAT/IPマスカレード」と書かれることが多いようです。
ちなみに「NAT」とは、「Network Address Translator」の略、マスカレードは、「Masquerade」です。
ところでTCP/IPを利用しているLAN内で様々なトラブルが生じたとします。
例えば、サーバーの共有フォルダにアクセスできない、ネットワークコンピュータのアイコンを開いて出るウインドウに接続しようとするパソコン名が見あたらないなど、様々なトラブルが生じ得ます。
「日経バイト」の2001/3号では、「ネットワーク管理を楽にする ユーティリティソフト活用術」と題して、WINDOWS/NT、WINDOWS2000、WINDOWS95/98のパソコンの基本的なコマンドといざというときに役立つフリー/シェアウェアを紹介しています。
ここでは、最も基本的なコマンドである「ping」について、説明しましょう。
pingは、DOSプロンプト画面からping コンピュータ名、の形で使用します。
WINDOWS2000では、スタートからプログラムでアクセサリのメニューの中にコマンドプロンプトとしてDOS画面が出ます。
もし、コンピュータ名からIPアドレスを割り出すことができれば(これを「名前解決」といいます)。
相手先のコンピュータのIPアドレスが表示されます。
また、pingコマンドにより、小さなデータ(「ICPMエコー要求パケット」という)が相手先のコンピュータに送られ、その返信が帰ってくるまでの時間がミリ秒単位で表示されます。
もし、名前解決に失敗してIPアドレスが分からない場合は、「Unknown host コンピュータ名」というメッセージが表示されます。
この場合、もし、相手のコンピュータのIPアドレスを別途、調べてping IPアドレスとして、実行した場合に成功すれば、「名前解決」の問題と特定できます。
コンピュータのIPアドレスを調べる手段としては、そのコンピュータで「ipconfig」コマンドを実行します。
そうするとIPアドレスとサブネットマスク(255.255.255.0のようなもの)が表示されます。
デフォルトゲートウェイというところにアドレスがある場合は、そこを経由してインターネットと接続されていることが分かります。
また、名前解決には、成功したものの返信が1秒以内に帰ってこない場合は、「Request timed out」が表示されます。
返信を受け取った場合は、その返信までの時間が表示されます。
ICPMエコー要求パケットは、全部で4回発行され、その最大、最小、平均時間などが表示されます。
コンピュータ名は、インターネット上のものでも当然、利用できます。
例として、首相官邸(www.kantei.go.jp)にpingを送った結果を下記に示します。
ping www.kantei.go.jp
Pinging www1.kantei.go.jp [202.214.63.114] with 32 bytes of data:
Reply from 202.214.63.114: bytes=32 time=50ms TTL=241
Reply from 202.214.63.114: bytes=32 time=50ms TTL=241
Reply from 202.214.63.114: bytes=32 time=50ms TTL=241
Reply from 202.214.63.114: bytes=32 time=50ms TTL=241
これで首相官邸のサーバのIPアドレスは、202.214.63.114であることが分かりました。
実際には、官邸のサーバまでは、いくつものサーバを経由していきます。
それは、「tracert」というコマンドで調べることができます。
tracert 202.214.63.114
Tracing route to 202.214.63.114 over a maximum of 30 hops
1 50 ms 60 ms 60 ms tkynip-fe2.asahi-net.or.jp [61.114.200.14]
2 60 ms 60 ms 60 ms tkycs1-tkynip.asahi-net.or.jp [202.224.33.177]
3 50 ms 60 ms 60 ms kddni1.asahi-net.or.jp [202.224.32.50]
4 50 ms 60 ms 110 ms kddni2.asahi-net.or.jp [202.224.32.49]
5 50 ms 60 ms 60 ms ge-1-2-0.ar3.NRT1.gblx.net [203.192.131.81]
6 50 ms 60 ms 60 ms so7-0-0-2488M.cr2.NRT1.gblx.net [203.192.128.233]
7 50 ms 60 ms 60 ms so1-3-0-622M.br1.NRT2.gblx.net [203.192.128.166]
8 50 ms 60 ms 60 ms 202.249.2.109
9 50 ms 60 ms 60 ms Otemachi-bb8.IIJ.Net [210.130.130.77]
10 60 ms 70 ms 60 ms ykhdc1-bb1.IIJ.Net [210.130.143.74]
11 60 ms 70 ms 60 ms Tsuzuki-bb3.IIJ.Net [202.232.0.74]
12 70 ms 60 ms 70 ms Tsuzuki1.IIJ.Net [210.130.143.228]
13 60 ms 60 ms 70 ms 210.130.160.60
14 70 ms * 70 ms 202.214.63.126
15 70 ms 70 ms 70 ms 202.214.63.114
Trace complete.
で、15個目のサーバのアドレスがそれですから15個のサーバを経由していることが分かります。
pingやtracertコマンドには、オプションスイッチがたくさんあります。
それらは、ping /? 等で調べることができます。
では、今月は、ここまで。
皆様、お元気でお過ごし下さい。また、来月、お会いしましょう。