今年の1月から「デジタル音楽編集」というコースをはじめました。
先月のご挨拶でも書きましたが、DigiOnSound3 Expressを使用したさまざまな編集操作に必要な素材を選ぶ作業をお正月休みに行いました。
また、できあいの素材を加工するだけでなく、アナログ音源から録音するという作業もテキストに含まれています。
そこで、テストも兼ねて、以前からの懸案だった手持ちのカセットテープの音楽をCD-Rに録音するという作業を行ってみました。
カセットテープから再生した音を録音するためには、カセットテープレコーダー(ラジカセ)が必要です。
そして、ラジカセとパソコンとを接続するためのケーブルも必要となります。
当方のラジカセの出力端子にはCDからの出力しか出ないため、イヤホンへの出力端子をパソコンのライン入力端子にケーブル(ステレオミニジャック)で接続しました。
テープを再生して、パソコンのスピーカーから音が出れば、OKです。
一方、パソコン側では、デジオンサウンド3 エクスプレス(デジオン)を起動して、録音の準備を行います。
デジオンのウインドウには、「コントローラー」と「ミキサーコントロール」を表示させておきます。
ミキサーコントロールは、左側の「REC」のステレオをクリックしてステレオ録音に備えます。
そして、テープを再生し、コントローラーの「赤いボタン」をクリックした後に「緑の→」をクリックして録音を開始します。
録音レベルは、ミキサーコントロールのスライドバーを上下にスライドさせて調整します。
はじめにテスト録音を行ってみて、ラジカセ側のボリュームを調節することも必要です。
1曲が終了した場合は、コントローラーの停止のボタンを押すと、少し待ち時間があった後に新しいウインドウに録音した音楽の波形が現れます。
ステレオ録音の場合は、2つのトラックにそれぞれ波形が記録されます。
デジオンの初期設定では、録音は、サンプリング周波数、44KHz(44100Hz)、量子化ビット数16ビットで録音できます。
これは、音楽CDの標準の品質レベルです。テープの音質は、CDよりも劣ると考えられますので、録音品質は、これで十分でしょう。
なお、サンプリング周波数は、最高192KHzまで上げることができますが、量子化ビット数は、16ビットが最高です。
音とは何でしょうか。
音は、空気の周期振動が我々に伝わり音として認識されるものです。
この振動が鼓膜を振動させ、その振動がさらにいくつかの増幅器官を経て内耳のリンパ液を振動させます。
この振動を約16000個の有毛細胞が電気信号に変えています。
大きな音は、強く有毛細胞を振動させます。
一方、音には、強さ(エネルギーの大きさ)だけでなく、高さ(周波数)が伴っています。
高い音は、鼓膜を速く振動させます。周波数が一定の音を単音といいますが、現実世界の音は、いろいろな周波数の単音が混ざったものです。
その混ざり具合(各周波数毎のエネルギー)が音色の違いとして認識されるのです。
このような周期振動は、正弦波(サインカーブ)の和(重ね合わせ)として数学的に記述されます。
これをフーリエの定理といいます。
人間の耳は、約2万ヘルツの音まで聞こえるといわれています。この波は、周期の半分、すなわち(1/4万)秒毎に最大と最小を取ることになります。
これを識別するためには、(1/4万)秒ごとに音の大きさを測定しなければならないことになります。
この場合のサンプリング周波数は、4万ヘルツとなります。これが標準の場合のサンプリング周波数が44KHzとなっている理由です。
このように一般に測定間隔の逆数をサンプリング周波数といいます。
前述のように測定した音の強さをデジタル化するためには、ある単位を元にしてその強さの何倍であるか、という整数値を記録することになります。
このデジタル化(離散化ともいう)の最大値を量子化ビット数といいます。
量子化ビット数が16ビットというと、2の16乗である、65536通りの値を割り当てることができます。
当然、この値が大きいほど細かく変化を記録することができるわけです。
録音した音楽は、いったんディスクに保存します。
この際、デジオンでは、デジオン独自の形式dgs以外にWindows標準のWAVファイルとし書き出すことができます。
dgs形式の場合は、6トラックまで保存できますが今回のケースでは、ステレオという2トラックなのでWAVファイルとして書き出してかまいません。
CD-Rへの書き込みは、デジオンからも行うことができますが、今回は、B's Recorder GOLD5を使用してみました。
音楽データを記録・保存することだけが目的であれば、ファイル形式は、特定のものでなければならない理由はありません。
dgs形式でもよいのです。
しかし、パソコンやラジカセ等で再生したいということであれば、音楽CDの標準形式であるCD-DA形式で保存する必要があります。
音楽CDを作成するウイザードに従い、元のファイル(WAV形式又はMP3形式)を指定するだけでよいのです。
なお、一言。モノラルの音楽ファイルは、音楽CD形式にすることはできません。
予めデジオンなどのソフトを使ってステレオにしておく必要があります。
手持ちでは最も古い森山良子さんのカセットテープ(1978年12月購入のもの)をCDにすることができました。
CDにしたからといって音質が向上するわけではありませんが、テープは、年々、劣化していきますし、テープを聞ける機器もいつまであることか、と考えると手持ちのテープをすべてCDにしてしまいたいという気持ちが起きてきました。
では、今月は、ここまで。
皆様、お元気でお過ごし下さい。また、来月、お会いしましょう。