会員の皆様へ(2007年11月のご挨拶)

備えあれども、憂いあり

目次

 インドパワー
 マイ・コンピュータにトラブル発生
 コピー用のバッチファイル
 備えあれども、?
 Windowsの修復を試みるが・・
 SATAディスクの予備がない! 購入・交換して完全復活へ
 SATAの予備を準備
 終わりにあたって
 芭蕉の句「秋深き隣は何をする人ぞ」に関する追記(2007/12/1)

インドパワー

秋深き隣は何をする人ぞ   芭蕉
 芭蕉、臨終の2週間ほど前の句とのこと。恥ずかしながら、私は、上掲の句を「秋深し・・」と記憶していましたが、今回、黛まどかさんの「ら・ら・ら奥の細道」の一部を読み返してみると、「秋深き・・」だったことを発見。はぁー。
 こういう、誰でも知っているような俳句や短歌、あるいは、童謡の歌詞などは、意外に当人だけが思い違い、記憶違いしていることが多いようです。
 正しいと思っているので、それに気がつかないのです。

 さて、当教室の地図にも載っていますが、しばらく前に近所にインド料理店(Indian Oven)ができました。
 インド人風のコックさんの国籍を確かめたわけではないけれど、いかにもインドの人がやっているように見え、そこそこ、お客さんが入っている、と感心していました。
 ところが、ここにきて、当地の川島商店街入り口にもインドカレーの店(3人入るといっぱいになりそう小さい店だけど)が出現。
 インドパワーがこんな東京の外れまで押し寄せてきたのか、という感があります。

 昭和30年代、市場が商店街の入り口にはあり、出店が出たり、チンドン屋が大売り出しに練り歩いたりと、活気にあふれていました。
 近年は、ご多分に漏れず、近隣のスーパー(といっても食料品専門のスーパーですが)に客は取られ、商店街の銭湯はマンションになり、商店の閉店後は住宅や整骨院などに変わり、街の魅力はずいぶんと失われてきたように見えます。
 「昔ながらの元気な商店街」とはとても言えなくなってしまうのではないか、危ぶまれます。
 いや、ほんと、ここ、中野区弥生町・南台地区は、銀行はないわ、大手スーパーはないわ、消防署には(消防車はあっても)救急車はないわ、公会堂はないわ、映画館はないわ、マクドナルドはないわ、回転寿司はないわ、という、まさに、ないないづくしの町です。
 JR新宿駅までバスで20分、西新宿の高層ビル群が間近に見えるロケーションなのに信じられませんな。

 ところで、テレビ東京の番組「出没!アド街ック天国」を見ていると、東京にも昔ながらの商店街が残っている地区もあり、川島商店街のように駅が近くにない(最寄りの地下鉄の駅まで徒歩10分)という地の利に恵まれないところでも工夫次第では、なんとかなるのではないか、と思うのです。
 確か、商店街が丸々、「沖縄」、という例も同番組で紹介されたことがあったように記憶しています。

 「そうだ、いっそのこと、「川島インド商店街」と改名して、インドを前面、いや全面に出したらどうだ! 沖縄や宮崎は、もう、古い。
 これからは、商店街丸ごとインドの時代なんだ!」と声をかけたい気分です。
 経済でもBRICs(ブリックス=ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国)の伸長が著しい昨今、インドパワーで街を再生、なんて、ニュースバリューがありそうです。
 いや、まじめな話、それぐらいしないと。

 当地の商店街の姿は、大手・中堅企業の工場が海外に移転または現地委託生産(OEM)に転じ、本社の事務部門でさえ、中国にアウトソーシングされつつある今の日本の姿とダブると思うのは、私だけでしょうか。
 「秋深き隣は何をする人ぞ」、芭蕉の句の意とは異なりますが、中国はもとよりインドも隣国といってよい。日本、これから、どうする?
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マイ・コンピュータにトラブル発生

マイ・コンピュータは、2007/6購入の製品で、愛称は、「神無月」といいます。
 メモリは、2048MB、CPUは、AMD Athlon 64 Dual X2、内蔵ハードディスクは、シリアルATA(SATA)の2ドライブ構成(ドライブ1=160GB、ドライブ2=250GB)です。
 OS無しの製品を購入し、購入直後にWindows XP Professional(SP2)をインストールしました。
 OSのインストール時、Windows XPが初期バージョンだったので、SATAディスクに対応できず、SP2を適用したXPを別途、作成する必要があったことは以前書きました。

 その神無月は、順調に動作していましたが、10/25の朝、いつものように電源を入れたところ、XPのロゴが表示された後、進行状態を表すバーが途中で止まり、起動に必要なファイルが見つからない旨のメッセージが出て、起動に失敗してしまいました。
 まず、定法通りに再起動してみましたが、今度は、別のファイルが見つからない旨のメッセージが出て、起動に失敗する。
 このような事態に備えて、次のようなバックアップ体制をとっていました。

 1.データは、LAN上のサーバ「水無月」にすべて保存する。
 2.水無月のデータのうち変更のあったファイルは、別ドライブの内蔵HD及び外付けHD装置に2時間おきに自動的にコピーされる。
 3.外付けHD(バッファロー製 500GB×2台)は、RAID 1で2重化されている。
 4.変更のあったサーバデータは、数日おきに愛称「弥生」にコピーされる。
 5.神無月のCドライブは、ASRバックアップを別ドライブの内蔵ディスクにとっている。
 6.Acrnis True Image(プロトン社販売 Ver9.0)で別ドライブの内蔵ディスクにバックアップする。
 7.5及び6のバックアップデータは、随時、サーバの外付けHDにコピーする。 
 私的には、これで完璧とは言わないものの、まあ、備えを尽くしていると思っていましたが。
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コピー用のバッチファイル

2007/5の今月のご挨拶で、「マイドキュメント」のバックアップ用のバッチファイルについて、記載しました。
 ここでは、USBメモリーにコピーする場合の注意点とVistaの場合のバッチファイルについて、書いておきましょう。
 まず、USBメモリーにコピーを行う場合、USBメモリー(以後、Fドライブと仮定する)のF:\にマイドキュメントの内容をすべて、コピーしようとすると、エラーになる場合があります。
 そこで、Fドライブに、たとえば、「Mydoc」というフォルダを作成しておき、次のようにバッチファイルを作成してください。

 Windows XP用のバッチファイル(ユーザ名は、適宜、読み替えてください。□は半角スペースを表します)
   xcopy□C:\Documents and Settings\ユーザ名\My Documents\*.*□F:\Mydoc□/S /D /R /H /F /Y

 Windows Vistaの場合は、ドキュメント(XPのマイドキュメントに相当)以外にアドレス帳などもバックアップできます。
 以下では、ドキュメント、アドレス帳、お気に入り、ダウンロードファイル、デスクトップ、ピクチャ、ビデオ、ミュージックの8つをバックアップするという想定にしています。

 1. FドライブのMydoc内に下記の8つの子フォルダを作成します。
 documents、contacts、favarites、downloads、desktop、pictures、videos、music
 2. 次の8行分の内容を書いたテキストファイル(拡張子は、bat:バッチファイル)を作ります。
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Documents\*.*□ F:\Mydoc\documents□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Contacts\*.*□ F:\Mydoc\contacts□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Favorites\*.*□ F:\Mydoc\favarites□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Downloads\*.*□ F:\Mydoc\downloads□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Desktop\*.*□ F:\Mydoc\desktop□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Pictures\*.*□ F:\Mydoc\pictures□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Videos\*.*□ F:\Mydoc\videos□ /S /D /R /H /F /Y
   xcopy C:\Users\ユーザ名\Music\*.*□ F:\Mydoc\music□ /S /D /R /H /F /Y
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備えあれども、?

前述のように再起動では、解決できなかったため、第2段階として、電源投入後にF8キーを押して、セーフモードでの起動を試みました。
 起動オプションの選択画面は、出るものの「前回正常起動時の構成」を選択しても、起動に失敗します。
 では、BIOSの画面が出るのかどうか? 電源投入直後にDELキーを押してみると、BIOS画面は、正常に表示される。HDの情報を見ると特に異常なし。

 かくてはならじと、第3段階として、ASRバックアップまたはTrue Imageのどちらを使うかを考えましたが、10/24の夜にTrue Imageのバックアップをとっていたので、BIOS設定でCD起動を優先してから、True Imageの起動ディスクでコンピュータを起動しました。
 True Imageの操作画面でリストアを指示して、次へと、押してみたものの、パーテーションの状態を確認中の表示が出たまま、進行しません。
 そこで、今度は、ASRバックアップからリストアすることを試みました。
 Windows XPのSP2適用CDと入れ替えてから、リセットして、すかさず、F2キーを押して、ASRバックアップ作成時のFDを挿入し、ハードディスクのフォーマットを行う画面までは、進むものの、肝心のフォーマットがゼロパーセントからいっこうに進行しません。
 ここに至って、事態は、かなり深刻であると分かりました。
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Windowsの修復を試みるが・・

では、回復コンソールを使ってみようと思い立ったものの、コマンドを忘れていました。
 こんなときに秀和システムの「Windowsコマンド辞典(VISTA対応版)」(2200円+税)は役に立ちます。Windows2003のコマンドも掲載しています。
 さて、SP2適用版のWindows CDで起動して、Rキーを押して、修復を指示する。コマンドラインから、MAPと入力して、パーテーションを表示させると、1台目のディスク内の2つの不明なパーテーションと2台目の正常なパーテーションが表示されました。
 fixboot C:
 で、ブートセクタの修復を試してみました。実行するものの、結果は、ダメ。
 では、fixmbr
 と、MBRの修復をやってみるものの、結果は同じ。
 仕方がないので、DISKPARTコマンドで、1台目の2つの不明なパーテーションを削除してから、再度、領域を確保します。
 FORMATコマンドで、フォーマットしようとしましたが、またしても進行しません。
 こうなっては、HD自身の故障を疑わないわけには、いかなくなりました。

※ 次のような書籍又は雑誌の内容も今回のような事態に役に立ちます。ご参考までに掲げておきましょう。
 1.「パソコンのトラブル解決シリーズ 1 ウインドウズのトラブル ズバリ 解決」(学研 500円:2006年3月) XP SP2対応。VISTAには未対応。
 2.「パソコンで困ったときに開く本 解決トラブル386」(朝日新聞社 1048円+税:2006年11月) XP SP2対応。VISTAには未対応。
 3.「起動不能からの脱出」(日経WinPC 2005/1号) 起動プロセスの詳細な説明とエラーメッセージに対応する対処法。VISTAには未対応。
 4.「Windowsクライアント復旧 虎の巻」(日経Windowsプロ 2004/2号) だいたい、2と同様の内容であるが分かりやすい。
 5.「本当に知っている? Windows 2000/XPの基礎 障害回復編」(日経Windowsプロ 2005/10号) 3とほぼ、同内容であるが表に整理されている。
 6.「システムの復旧とデータの復元テクニック」(ソフトバンク PCJAPAN 2006年の何月号かは不明) ツールを使った修復にも言及している。
 なお、今回は、パソコン内の重要なデータは、サーバに保存されていましたので、ドライブ内のデータの救出は、問題になりませんでしたが、パソコン内に重要なデータを保存している方は、回復コンソール以外に、LINUXを使ったデータの救出が役に立つこともあります。 
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SATAディスクの予備がない! 購入・交換して完全復活へ

IDE ATAのHDの予備は、あったのですが、SATA搭載のマシンは、まだ、2台だけなので、予備がありません。
 さあ、弱りました。
 えい、迷っている間にまず、注文と、24日中にヨドバシカメラのHPからSATAの160GBのディスクを1台、注文しました。
 26日の午前中には、HDが到着しました。
 「えらいぞ、ヨドバシ!」

 教室の昼休みに、HDを交換して、26日の夜に、まず、新規のHD内に領域を2つ確保し、NTFSでフォーマットを行いました。
 ドライブ文字が前回と異なってしまいました。大丈夫かな?と不安。
 次に、True Imageからリストア作業を行いましたが、今度は、またたくまにパーテーションの確認作業が進行して、リストア用のデータの選択の画面になりました。
 10/24の完全バックアップデータを指示して、念のため、データのベリファイを付けて実行させたところ、約30分ほどで、復活しました。
 心配したドライブレターも以前と同一になりました。やれやれ。「えらいぞ、True Image!」。

 2日のブランクがありましたが、26日深夜には新しいメールもすべて受信して、完全復活しました。
 幸い、返信が必要なメールも特にはなく、皆様にご迷惑をお掛けしなくてよかったです。
 付け加えると、True Imageでのバックアップは、「完全バックアップ」で常に「バックアップデータのベリファイ」を行っていた方が安全です。
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SATAの予備を準備

今回の経験に懲りて、SATAの予備ディスクを購入しておく予定です。
 交換したディスクが本当に故障しているのかどうかは、まだ、確認していませんが、新しい規格が登場すると、どうしても、今回のようなバタバタ劇が起きやすいですね。
 以上、「備えあれども、憂いあり」の一幕でした。(本当は、備えが足りなかったのですが・・)
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終わりにあたって

 今回もご覧いただき、ありがとうございました。
 あれほど、暑かった夏も遠くなり、寒暖の差が激しい毎日となりました。
 風邪など、引かれぬように、ご用心下さい。
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芭蕉の句「秋深き隣は何をする人ぞ」に関する追記(2007/12/1)

拙文の冒頭に引用しました「秋深き隣は何をする人ぞ」に関し、やや異なった表現である「秋ふかし隣はなにをする人ぞ」のいずれも、芭蕉の句として伝わっている旨を、K先生から、ご教示いただきました。
 ここに、11/15に頂戴いたしましたお手紙のほぼ全文を引用させていただくとともに、掲載を快諾いただきましたK先生に、厚く、お礼を申し上げます。
(見やすいように若干、改行を入れました。)

前略
ご無沙汰しております。
肌寒の候、いかがお過しですか?
普段、貴社のホーム頁の表紙を待ち受け両面に用い、情報検索を便利に使わせて頂いている身としてお礼を申上げます。そして、私の趣味の一端をご披露がてら、今月のご挨拶の冒頭のお言葉に若干の註をつけたく存じます。

 俳諧、特に後に「俳句」と呼ばれるようになった俳諧の立句(たてく)・発句(ほっく)については、江戸時代のその道の人は大変な神経を使いました。
 発句は、音(声を出して読んだときの響き)、形(漢字、平仮名、片仮名の並び)、その意味(表面上の意味とその深い意味・これが現代では「俳句の解釈」と言われています)の三つの観点から鑑賞して優秀な句か否かが判別されるものです。
 そして、本当にどういう句をその俳人が詠んだかは「真蹟」という俳人本人が書き残したものが存在しない限り、判明しないものです。そして、真蹟があっても俳人はその句をどの用紙で、例えば色紙か、又は文中のどのスペースを埋めるために書くかにより、句の形や季題すら変える場合があります。

 引用された句は、現代の最も権威がある書物・岩波文庫の中村俊定校注の「芭蕉俳句集」では、二つの句形が残されています。支考という弟子が書いた「笈日記」からの引用と、野坡(やば)という弟子等が選んだ句集「六行会」の中に出てくる句形の二つです。

 前者は、「明日の夜は芝柏が方にまねきおもふよしにて、ほつ句つかハし申されし」(明日の夜は芝柏の家で会合があるとお思いになり、自分(=芭蕉)は行かれないが、俳句の会には必要になる冒頭の句=発句を使いに持たせてやろう、と芭蕉翁が申されて詠まれた句)という長い前書があった後に、「秋深き隣は何をする人ぞ」となっています。明らかに自分がその会合に出席したとしたら、私の隣に座る人は、俳人ではあるが、職業としては、商人か、どこかの隠居か、大阪の町に住むどこかの藩のお侍か、などなど思い巡らしている自分の姿を詠んでいる句ということになります。そう考えると、「秋ふかし」と言い切らずに下に続く句の形「秋深き」が自然に隣の人への話しかけになります。

 後者は、「ある人に對し」という前書きがあった後、「秋ふかし隣はなにをする人ぞ」と記しています。この前書は笈日記の話を知っていて前書をつけないのは芭蕉の真意に反すろだろうと付けたものでしょう。
 しかし深い事情を述べない限り、「深き」の余韻を持たせた詠みでは、すっきりしない、一般化できない、と考えて、「ふかし」と言い切ったのでしょう。言い切ることで、どこの場面でも読める(「詠める」ではありません。)俳句になります。そう読むと、「ある人に對し」と付けた前書が死に、不要な前書となります。
 要は、一般化するなら、この前書はない方がすっきりとし、いろいろな人がその置かれている今の境遇の中で、任意にこの句を味わい、鑑賞できることになります。特に「隣人を思いやる句」になります。隣人を思い巡らす「自分」が消えてしまいます。
 このほかに、「陸奥衛(むつちどり)」「泊船集」という句集にも載っている可能性がありますが、私は確認していません。

 前の二書の漢字・平仮名の配置が異なりますが、この二つの句形が今、確認されている最も権威ある形です。だからと言って、少しばかり形を変えて句を引用されることは問題にする必要のないことです。ましてや「思い違い」「記憶違い」と断ずる必要は全くありません。多分、教科書の類は、後者を載せることが多いのではないでしょうか。 (後略)

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