数式処理ソフト DERIVE(デライブ) de ドライブ

3.加減乗除などの基本的な演算と有効桁数

数式処理ソフト DERIVE(デライブ)での演算の対象となるものの内で、最も基本的なものは、数値です。
 数値については、一般的には、有効桁数を考えて計算しなければなりません。工学的な視点では、せいぜい6桁程度と考えられます。
 DERIVEの既定値では、10桁の有効桁数を持っています。(オプション-モード設定-式変形タブの精度で可変)
 ただし、この桁数は、近似値を出すときに適用される桁数であり、厳密なモード(EXACTモード)では、近似値を求めない限り、計算を指示すると、厳密な結果が求まる場合は、その値を求め、厳密な結果が求められない場合は、数式のままで次の指示を待ちます。
 このあたりが、電卓やエクセルなどでの計算とは大きく異なる点です。
 試しに、2の102400乗を計算してみましょう。DERIVEでは、計算式は、「数式入力行」と呼ばれる下部のテキストボックスに入力します。
 +、-、*、/は、加減乗除の基本的な演算子です。また、^(ハットマーク)は、べき乗を表します。
 なお、エクセルのように先頭に=を付ける必要はありません。
 この場合は、「2^102400」と入力してエンターを押すだけです。すると、上部の「数式シート」に「#1 2^102400」と表示されます。
 ここで、#1 というのは、式の番号であり、式を識別するだけでなく、後述のように数式や関数の中で式の番号を参照することも可能です。
 具体的な演算結果を得るためには、ツールバーの=(計算)をクリックして計算を実行させます。一瞬のうちに膨大な数字が数式シートに現れます。あまり大きすぎて、どの程度の大きさの数値か見当がつきません。
 そこで、近似値を計算するために、波打った=(近似値)をクリックします。すると、式番号2として、「#2 2.961801792×10^30825」という近似値が表示されます。概略30825桁の数値だったのです。
 (※かぎ括弧「 」は、分かりやすくするために使用しています。DERIVEでは、表示されません。また、×は、DERIVEではドットで表示されますがここでは、×で記載しています。)
 このように近似値を計算した結果を表示する桁数が10桁だったのです。
 ちなみに2の1024000乗は、30万桁以上の整数ですが、さすがに厳密な結果は、表示できません。近似値をクリックして、「5.194693363×10^(3.0825×10^5)」が得られます。
 では、もう一つの例です。以前、公開鍵暗号の説明例として計算した、196^1573を1067で割った際の余りを計算してみましょう。
 まず、式入力行に「196^1573」と入力してエンターを押します。数式シートに「#3 196^1573」と表示されます。(これは、概略、3600桁の整数です)
 次に式入力行を消去してから、剰余を求める関数(MOD(m,n))を使って、「MOD(#3,1067)」と入力し、ツールバーの=(計算)をクリックすると直ちに「344」と正しい数値が得られます。
 では、厳密な整数が表示できなかった2の1024000乗を1067で割った際の剰余は、求まるでしょうか?
 MOD(2^1024000,1067)と入力して、ツールバーの=(計算)をクリックすると、結果は、直ちに837と求まりました。
 それでは、最後に便利なファンクションキーの使い方を覚えておきましょう。それは、F3キーです。数式シート上で選択されている数式(またはその一部)がF3キーを押すと、数式入力行に貼り付けられます。