無理関数(根号が入った関数)に関する方程式です。特に平方根が入った方程式は、受験数学では、おなじみのものです。
特に平方根内は、正でなければならないという条件が付いてくるので、一般には、無縁根の吟味が必要です。
ところで、近年は、方程式の「根」とは言わずに、「解」というのだそうですので、「無縁根」ではなく、正しくは「無縁解」と書くようです。
ただし、このブログでは、どちらもほとんど同じ意味で用いてきました。今後も両方を使うかも知れません。ご了承ください。
DERIVEでは、必要に応じて、解の変域を指定できるので、吟味に威力を発揮します(変数の変域は、2007/3/14の記事参照)
では、例題です。√(x+2)+√(x-3)=√(3x+4)を解け。
根号内が正という条件から、もっとも厳しいx>=3を、変数xに科せられています。
式を入力した後、「解く」メニューから「方程式・・」を選択して、「解く」ボタンをクリックすると、解として、x=7が求められます。
無縁解である、x=-7/3は、自動的に現われません。変数の変域を指定しないでもDERIVEが根号内が正という条件を考えてくれているようです。
以前、引用しました日本評論社刊「数学100の方程式」にも記載されていますが、「三角方程式」という名称は、特に受験数学に特有の用語で、日本独自のものとのことです。一口に言えば、三角関数を含んだ方程式ですが、三角関数が本質的に多価であることと、値の範囲に制限がある(SIN、COSなど絶対値は、1以下)、加法公式等の複雑さのため、解答が難解になりがちとのことです。
数式処理ソフト DERIVE(デライブ)では、三角関数を含んだ式の簡単化について、人間に及ばない面がありますので、それを補う方法がいくつか用意されています。
それは、「オプション」メニューの「式変形」の中に「変換」という項目があり、「三角関数」は、その扱いを「AUTO、COLLECT、EXPAND」の中から選択することができます。
また、三角関数の展開については、同様のオプションに「三角関数のべき」というものがあり、「AUTO、SINES、COSINES」の中から選択することができます。
例題です。2sin(2x)-2(sin(x)+cos(x))+1=0、このとき、0=<x<=π。
これを、人間では容易に、(2COS(x) - 1)(2SIN(x) - 1) = 0と変形できるのですが、どうも、DERIVEでは、うまく変形できません。xの変域として、0=<x<=πを入れて、上記のように変形を一部手助け(といってもこの問題では、ここが肝心なのですが)すれば、x
= 5π/6 ∨ x =π/6 ∨ x = π/3と求まるのですが・・・残念。
もっとも、この問題は、u=sin(x)、v=cos(x)とおき、与式は、COS(x)(4SIN(x) - 2) - 2SIN(x) +1=0、を変数、x、u、vに関する3元連立方程式とすれば、DERIVEでも直ちに解くことは、できます。
続いて、第2問です。cos(2x)+(2√2+1)sin(x)-(√2+1)≦0を解け。ただし、0≦x≦2π。
DERIVEでは、直ちにsin(x)≦1/2となりますが、ここからは、人力でsin(x)=1/2となるxを求めて、それがxの変域内では、π/6と5π/6であることから、0≦x≦π/6、または、5π/6≦x≦2πと解が求められます。
第3問。証明問題です。sinθ+sin2θ+sin3θ=4cosθcos(θ/2)sin(3θ/2)を証明せよ。
これは、左辺から右辺を引く式を立てて、DERIVEに入力します。計算(=)を指示すると直ちにゼロとなりますので、与式は、正しいことが分かります。
このようなとき、計算過程を確認したい場合は、「代数」メニューから「計算過程の表示」(ショートカットキーは、Ctrl+D)をクリックする度に計算式が変形されていく過程が表示されます。
これもきれいに解ける場合は、少なく、そのようなケースは、受験によく出てくる問題です。
しかし、三角関数の場合もそうですが、このような方程式から代数解(厳密解)を一般に求めることができません。その場合は、数値的に方程式を解くことになりますので、方程式の数値解法のところに挙げるべきテーマかも知れませんね。
三角関数と同様に「オプション」メニューの「式変形」の中に対数関数、指数関数とも「AUTO、COLLECT、EXPAND」の中から演算の進め方を選択できます。
早速、例題です。9^x-3^x=6なるxを求めよ。与式を入力して、「解く」メニューからxの実数解を求めるとx=1と正解が求まりました。
第2問 実数x、y、zの間に関係式2^x=5^y=10^zがあるとき、1/x+1/y=1/zが成り立つことを証明せよ。
この問題は、関係式からy = xLN(2)/LN(5)、z = xLN(2)/LN(10)を求め、1/x+1/y-1/zを実際に計算するとゼロになり事を直ちに示すことができました。
第3問 x^2+(loga(2))x+log2(a^2)=0が相異なる負の解を持つためのa(>0、かつ、≠1)の条件を求めよ。
判別式>0と具体的なxの2つの解<0を2元連立不等式として解くのがDERIVE流の方法でしょう。DERIVEでは、loga(x)=LOG(x,a)と入力します。
第1の解からa>1、かつ、a<√2が出ます。このとき、さらなる条件、1/(LN(a))^2>0が出てくるのですが、この条件は自動的に満たされていますので、省きます。第2の解からは、さらなる条件がいくつも出てきますが、結局、独立な条件は、前出のa>1かつa<√2のみです。
なお、数学的には、2根の和<0かつ2根の積>0という条件から、a>1が分かり、判別式の方の条件からa>√2が出てくるので、解法的には、こちらの方が簡便です。