仮想現実 Virtual Reality
仮想仕事 Virtual Work
仮想記憶 Virtual Memory
仮想マシン Virtual Machine
Virtual PC 2007
Virtual PC 2007のインストール
ゲストOSのインストール
仮想マシンの利用
仮想マシンの不便な点
終わりにあたって
「仮想現実」は、英語の「バーチャル・リアリティ」の訳です。
コンピュータにより、実際ではないが、実際のように見えるものを作り出すこと、又は、作り出したものを表します。
広辞苑第6版では、「バーチャル‐リアリティー【virtual reality】:コンピューターの作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させること。人間が行けない場所でのロボット操作などにも応用する。仮想現実。仮想現実感」と説明されています。
しかし、英語の「Virtual」には、ヤフーの英和辞書( プログレッシブ英和中辞典)でも、第1の意味として「(名目上はそうではないが)実質上の, 事実上の, 実際(上)の」が掲げられているように、元々の英語では、「実質的な」という部分に力点が置かれているようです。
ウィキペディアでも指摘されていますが、「Virtual Money」は、「Web Money」のような電子マネーを意味します。
「うその」通貨という意味ではありません。
そうですね、日本語の「仮想」は、どらかというと「本物ではない」という部分に力点が置かれているようであり、英語のVirtualは、「ほとんど本物のような」という部分に重点がある、ということは言えるようですね。
そう考えると、Virtual Realityを仮想現実と訳したのは、あながち間違いとは言えないような気がしますが、英語のVirtualは、実質的な、という意味があることだけは、知っておいて損はないようです。
目次に戻る
「なんなの?
仮想仕事って?」
「おっと! その声はもしや。
『いや! ともちゃん 久しぶりだのー』」
「そんな馬鹿、言ってないで、仮想仕事を説明してよ。
さっきの広辞苑で引くと、
『道具を使うと小さな力で仕事ができるが仕事の総量は変わらないという力学上の原理』
って、書いてあるけど、さっぱり、訳わかんないじゃないの」
「ま、確かに、短く説明するのは、難しいことじゃろう。
わしの学生時代の原島先生の力学の本でも、「仮想変位」(Virtual displacement)の説明で、Virtualには、「可能」という意味があるというような説明をしている。
考えている力学的な体系が許容する「可能な(微小)変位」を与えた時の仕事を仮想仕事と考えるのが分かりやすいのではないか、書かれているのう」
「力学的な体系というのは、どんなことかしら。
原島先生の本では、「てこ」について、最初に書いてあるわね」
「うん。
「てこ」で言えば、てこの材質とか太さ、全長は、通常は、考えず、支点と力点との位置関係(比率)が重要じゃな。
上の図で言えば、a:bが重要なことじゃな」
「そうね。作用点 Bでの力の大きさ Wは、力点 Cに加える力の大きさ Fを使って、W=F×(a/b)だものね」
「ふ~ん。
作用点という言葉が良く出たのう。
わしゃ、忘れかけておったがな」
「それでいいじゃないの。
別に仮想仕事なんて考えなくても」
「ま、そういわれると答えに窮しないでもないが。
上の図で、運動方程式から考えるとどうなるのかの」
「う~ん。
てこが一様な太さとして、その線密度をρ、また、てこや支点が撓まない堅い材質すると、支点での摩擦は無視すれば、
てこの重心の運動方程式は、垂直方向(上向きを正とする)のみを考えればよいので、
ρ(a+b)dV/dt=-F-W+J-ρg(a+b)、ここで、-Wは、てこに働く物体からの力、Jは、支点からの力ね。
また、てこの支点の回りの慣性モーメントをIで表すとして、
運動方程式は、I×dω/dt=F×a×cosθ-W×b×cosθ+ρg(a+b)(a-b)×cosθ/2。
なお、反時計回りを正としている。ω=dθ/dt。
釣り合っているときは、両式の左辺がゼロなので、
J = (a + b)(2F + gρ(a + b))/(2b) 、W = (2Fa + gρ(a + b)(a - b))/(2b) となるわ」
「そうじゃな。
支点からの力や慣性モーメントなどが出てくるが、特にWを求めるだけであれば、結局は、使っておらんじゃろう。
仮想仕事の原理を使うと、これらの量が出てこないので簡単になるのじゃな」
「へー。具体的には」
「まず、体系に加わる力を束縛力とそれ以外の力(同書では、既知力と呼んでいる)に分ける。
束縛力が仕事をしないとき、体系は、釣り合いの状態にあるという。
そこで、てこのつりあいを壊さないような可能な変位として、角度θを正の向きに微小な角度 δθだけ、回転させることを考える。
考えるだけで、実際は、回転させないので、仮想とも言えるし、可能だからこそ仮想できるとも言える。
(ここは、原島先生の本の受け売りじゃがな)。
このときの、てこに対するおのおのの「既知力」の仕事量を計算してご覧」
「まずは、力 Fのなす仕事ね。
これは、F×a×δθ。作用点に働く外力Wのなす仕事は、-W×b×δθ、
てこの重心に働く重力のなす仕事は、ρg(a+b)×(a-b)/2×δθ」
「仮想仕事の原理は、これらの和がゼロであることを言うのじゃ。
これからW= a2gρ/(2b) + F(a/b) - bgρ/2。
このとき、ρ=0、すなわち、てこの質量を無視すれば、おなじみのアルキメデスの「てこの原理」じゃな」
「不思議ね。
エネルギーが保存されてるってことかしら」
「この場合はな。
ただ、「仕事」というのは、力×長さの次元を持つので、そのように呼んでいるだけで、無理にエネルギーと結びつけて考えん方が良いとも書かれておるの。
同書では、ここから、解析力学が始まっているのう」
目次に戻る
「これは、ともちゃんも聞いたことがあるじゃろう」
「そうね。
コンピュータに積んでいるメモリー以上のメモリーを使えるようにする仕組みね」
「そうじゃな。今では、実メモリーも豊富に使えるので、ハードディスク上のスワップファイルを確保しなくてもよいことがあるが、通常は、実メモリーと同一かまたは2倍程度の領域を確保しておる。
また、アプリケーションから見たときに、実メモリー上に連続した記憶域を確保することが難しい場合でも、あたかも連続した領域が確保できるようにアプリ側に見せかける仕組みも仮想記憶と呼ばれていて、OSの重要な役割になっているのだそうだ」
「なるほど。この場合のバーチャル・メモリーは、「ほとんど本物の」メモリーという語感だわ」
目次に戻る
「バーチャルという言葉に対する理解が深まってきたところで、ようやく、本題に入ったきたわけじゃ」
「仮想マシン。
またしても、同じ質問で恐縮してしまうんだけど、それって何なのさ、という感じよね」
「うん。その前にどうして、そんなことが必要かを説明するかな。
ともちゃんが「DERIVE de ドライブ」に出ていたとき、DERIVEをVISTA上で動かすのに苦労したろうが」
「そうだったわね。XPに対応しているアプリケーションが必ずしも、VISTAで正常に動作するかどうかは、分からないもの」
「そういうことだの。
DERIVEの場合は、ヘルプファイル以外は、事実上、問題なく動いたが、VISTAでは、動作しないソフトもあるからの」
※赤字の個所を訂正しました。2018/8/5
「別のコンピュータでXP上で動かすしかないのかしら?」
「それは、当然、可能じゃ。
XPは、Home Edition/Professional Edition とも、まだ、マイクロソフトのサポートもある。
ただ、そのためには、もう1台のコンピュータが必要じゃ。
いくらパソコンが安くなったと言っても、少し、ムダじゃな。電力も余分に使うので、エコでもないしの。
そこで、わしの個人用マシンは、「デュアル・ブート」という方法で、1台のコンピュータに2つのOS、この場合は、XPとVISTAじゃが、を動かしていたのじゃ。
このときは、最初にXPをインストールした後でVISTAをインストールする。
すると、電源を入れたときに、「以前のバージョンのWindows」か「Windows VISTA」のいずれかを選択できる画面が表示されるので、既定では、30秒以内にどちらかを選択して、Enterキーを押すと、それぞれのWindowsが起動する仕組みじゃ」
「別のWindowsに切り替えたい場合は、再起動する訳ね」
「そうじゃ。
それが面倒だということは、最初から分かってはいたんじゃがな。
VISTAのシャットダウンは、特に時間がかかるし。
ま、1年近く、この状態で使ってきたんじゃがな、そろそろ、なんとかしたいと思うようになったの」
「そこで、OSの仮想化ということね」
「そうそう。以前からやってみたいと思っていたんじゃが、なかなか、チャンスが無かったとも言えるのう」
「まさに、『必要は発明の母』ね」
「おっと、これは、ともちゃんに言われてしまったのう」
目次に戻る
「ま、これまで手を付けなかった理由は、それだけではない。
仮想マシンについて、なかなか、実用的な情報が少なくて、躊躇していたということもあるのじゃ。
ところが、最近、『仮想化技術 パーフェクトガイド』(中村 真彦 著:(株)ソーテック:2580円:2007/6初版)という本を入手したので、取りかかってみたという訳なのじゃよ」
「ふ~ん。これがネタ本ね」
「ま、インターネット上で様々な情報が得られるといっても、やはり、本というメディアも必要だと思うのう。
ざっと、目次を紹介すると、第1部では、「仮想化技術概論」と題して、基本的な情報を整理している。
第2部では、具体的に、『VMWare Player』、『Virtual PC』等について、インストールから設定まで紹介している。
第3部、第4部では、それぞれ、MacOS、Linuxの仮想化技術について、紹介している。
今回は、ホストOSとして、Windows VISTAを利用するので、仮想化ソフトとしては、マイクロソフト社が無償で提供している「Virtual PC 2007」を利用したのじゃ」
「VISTAをホストOSと呼ぶのね。XPの方は、なんて呼ぶのかしら」
「ホストに対して、ゲストOSと呼んでいる。
ゲストOSは、複数のゲストOSがあっても良い」
「どんなOSがゲストになれるのかしら」
「その前にいうておくが、ホストOSになれるのは、
VISTA(ライセンス上は、Ultimate、Enterprise、Businessに限る)以外に、XP Professional、Windows Server 2003 じゃ。
ゲストOSはというと、VISTA、XP Pro、2000、98 SE、OS/2 Warp が正式にサポートされているそうじゃ。
これ以外に動作するのは、NT 4.0、98、95、MS-DOS 6.22 だとのこと」
「へー。MS-DOSやWindows95って、チョー古代って感じだわ」
「そういう時代になったの。
今年末には、Windows 7が発売されるというしな」
目次に戻る
「インストールの詳細は、上記の本にあるので、ここでは、省略するが、ダウンロード先を書いておくことにしよう。
マイクロソフトのページ:http://www.microsoft.com/japan/windows/products/winfamily/virtualpc/default.mspx
から、ダウンロード可能じゃ。
このアドレスは、2009/6現在のものであるから、将来は、アドレスが変わるかも知れんが、そのときは、『Virtual PC2007』というキーワードで検索して欲しいのう。
インストールが成功して、Virtual PCを起動すると、上記のようなコンソールがゲストOSのデスクトップに表示されるのじゃ」
「XPなんとか、がインストールされているわね」
「そうじゃな。すでにXPをインストールしてあるからな。
最初は、上図の「新規」ボタンしか押せないのじゃ。
そう、それと、新しいコンピュータでは、BIOSの設定で仮想マシン用のCPUの設定ができる場合(ハードウェアの仮想化)もある。その場合は、高速化が期待できる」
目次に戻る
「新規ボタンを押して、設定するのじゃが、マイクロソフトお得意のウィザード形式になっているので、それほど、迷わないじゃろうて。
途中で、バーチャルマシン(仮想マシン)の名前を聞いてくる。
通常は、重複しなければ、なんでも良いが、ドメインに参加させる場合は、ドメイン内でユニークな名前が必要なので注意するように。
それと、仮想マシンに割り当てるリソースを指定する必要がある」
「リソースって、ハードディスクとかかしら」
「そうじゃな。主に、ハードディスクの容量とメモリーの容量じゃ。
XPであれば、XPにインストールするアプリの量にもよるが、仮想マシンのCドライブに10~20GB、メモリーに512MBほども割り当てれば、十分じゃろう。
XP以前のゲストOSであれば、メモリー量は、もっと、小さくて良いじゃろう。その値は、後でも調整できる」
「ゲストOSのハードディスクは、ホスト側でどんな風に見えるのかしら」
「これは、拡張子がVHDという、1つのファイルのように見える。
その中身は、ホストOSから直接は、のぞけないのう」
「ゲストOSのインストールには、難しい点があるの?」
「特にはない。
XPのインストール時に、CDからゲストOSをインストールするためには、仮想マシンの上部のCDメニューから「物理ドライブ○○の利用」というところをクリックして、ゲストOSをインストールすれば、よい。
ただ、残念なことには、ゲストOSでは、USBメモリーは、直接は利用できない。直接、アクセスできるのは、FDまたはCDだけじゃ」
「じゃ、困るんじゃないの」
「いや、ネットワークは、使えるので、ホストOSまたはネットワーク上の共有ファイルにアクセスする上で不自由はないの。
上図は、XPの仮想マシン起動したところじゃ。
仮想マシンをドメインに参加させるのも、まったく同一で、拍子抜けするほどじゃな
なお、ホストOSにログインするときは、Ctrl+Alt+Delじゃが、ゲストOSにログインするときは、キーボード右側のAlt+Delになっている」
目次に戻る
「仮想マシンを有効に利用するためには、当然、アプリケーションをインストールする必要はある。
たとえ、ホストOS側にインストールされているものでも、デュアルブートの場合と同様に別途、インストールする必要があるのじゃ」
「そこが面倒ねー」
「ま、1回は、仕方なかろう。
上図が、VISTA上で、ゲストOSである、XPを起動し、デスクトップが出ているところじゃ。
もちろん、プリンタもインストールする必要がある。
今回は、ドメインに参加させているので、ネットワーク上のプリンタを選択するだけで、ドメインコントローラからXP用のドライバが自動的にダウンロードされるので、 簡単じゃな」
「ウイルスバスターが入っているね」
「おう、気がついたかな。
実は、仮想マシンのネットワークの接続形態にもよるんじゃが、今回のように仮想マシンをドメインに参加させるためには、ゲストOS側のネットワーク接続を「ローカル」にしておく訳にはいかないのじゃ。
そこで、「既定」では、100/10MBPSのLANアダプタが付いているかのように仮想マシンは、振る舞うのじゃな。
ということは、安全のためには、ウイルス対策も必要だということにもなる。
また、それだけでなくて、XPであれば、サービスパック3を適用した後に通常のようにWindows Update(Officeなどもアップデートするには、Microsoft Update)をかけておく必要がある」
「あ、ちゃんと、IPアドレスがホストOSと別なんだ。
それにマイコンピュータから見ると、Cドライブって、表示されている!」
「この本にも書いてあるが、まるで、『箱庭』のようじゃな。ドメインコントローラから見ても、あたかも一つの実マシンのように見える。
必要であれば、インターネットエクスプローラと同様にメールもまったくXPで使うときのように使える。
もし、仮想化されたXPの中に住んでいる生物がいれば、その生き物は、自分の住んでいる世界がすべてのように見えるじゃろう。
ところが、外のVISTAの世界から見ると、それは、おかしい。まさに、『井の中の蛙大海を知らず』じゃな」
「ホント。
でも、宇宙の外の世界(神、あるいは宇宙の管理者か?)から見ると、案外、私たちもカエルかも知れないわ」
「ほほ、まったくじゃな。ともちゃんもたまには良いことを言うのう」
「たまは、余計です! ところで、データは、ホスト側からドラッグ・ドロップできるのかしら」
「うん。それには、同書のP79で指摘されているように「追加機能」を後から、インストールする必要があるのじゃな。
すると、クリップボードの機能が拡張される」
「あー。
そうすると、VISTAのデスクトップのデータをドラッグできる!」
「もちろん、逆もな」
「XPを終了するときは?」
「当然、XPのスタートボタンから「シャットダウン」じゃな。ゲストOSがWindows XP Homeであれば、「終了オプション」となる」
「実際のマシンよりも、速くシャットダウンするね」
「起動も速いじゃろう」
目次に戻る
「まだ、5月の半ば過ぎにセットしたので、半月も使っておらん。詳細は、次回以降に報告したいのだがな」
「ホストマシンのスペックはどうなの」
「ま、高いに越したことはないの。
今回のマシンは、メモリーは、4GB、ハードディスクは、1台目が250GB、2台目が500GBじゃな。
CPUは、インテルのCore2 DUO、3GHZという、最近購入したマシンじゃよって、ゲストOSのスピードは、数年前のマシンで直接、XPを起動している場合と変わらないように思う。
ただ、Virtual PCのビデオボードは、Trident64という古めのものが仮想化されていて、ビデオRAMは、8MBしかない。
このためか、Excel、Wordなどでは、問題はないが、Accessのような重いソフトを起動して、わしが構築したシステムを動作させると、時として、画面の表示が汚くなることがある。この点は、今後の課題じゃな。画面のプロパティで色数を32ビットから16ビットカラーにすると良いかも知れん。
それと、当然のことじゃが、ゲストOSを起動させていないときは、ゲストOSのCドライブの中身などは、見ることができない。
ホストOSかネットワーク側(の共有フォルダ)にデータを持たせるか、または、適当なタイミングでネットワーク側にCドライブのマイドキュメントなどのデータをコピーすれば、さしたる問題ではないがの」
「そのことだけど、ネットで検索するとVHDファイルの中身をホストOS側で操作できるツールがあるそうね。VirtualPCのvhdも読める仮想ドライブツール「GizmoDrive」というそうよ」
「なーるほど。こういうものも開発されているんじゃな」
目次に戻る
今回もご覧いただき、ありがとうございました。では、来月まで、どうか、お元気でお過ごしください。
今後とも、ご愛読のほど、よろしく、お願いいたします。
目次に戻る
一部修正 2018/8/5、目次を追加し、文章を微調整 2019/5/9