会員の皆様へ(2012年10月のご挨拶)

照度

目次

 ブーゲンビリアの花
 暑さ寒さも彼岸まで
 照度
 照度の計算
 終わりにあたって

ブーゲンビリアの花

7月のお盆に、お寺にお参りした際、ブーゲンビリアの花がとてもきれいでした。
 この秋のお彼岸にうかがったときも、数は少ないながら、まだ、花が咲いていました。
 本当に花期が長い花です。お寺のものは、地植えでかなり太い幹になっていました。
 東京でも、屋外で育つことにも感心します。これも暖冬化が進んでいる証拠なのかなとも思いますが。
 Wikiで見ると、『オシロイバナ科のブーゲンビリア属に属する熱帯性の低木』とあります。ブーゲンビリアという花の名前は、1768年にブラジルでこの花を見つけた探検家『ブーガンビル(ルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィル(Louis Antoine de Bougainville、1729年11月11日 - 1811年8月31日)。フランスの航海者・探検家・数学者・軍人)』に由来するとのことです。
 いやー、知らなかったな。
 由来といえば、テレビ朝日の『雑学家族』(土曜日:6時30分)をたまに見ます。
 クイズ番組というと、とかく回答に追われるコセコセした感じの番組が多い中で、この雑学家族は、アットホームなほんわかムードで好感が持てます。
 まあ、単に自分より早く回答する回答者がいる番組が気に入らないだけかも知れないのですけどね。
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暑さ寒さも彼岸まで

「ようやく、涼しくなったわね」

「お、ともちゃんか、『暑さ寒さも彼岸まで』というが、今年は、彼岸を過ぎたら急に涼しくなったのう」

「けど、『暑さ寒さも彼岸まで』の初出は、はっきりとはしないわね。
たいていのホームページでは、暑さも寒さも彼岸頃には、やわらぐため、というような説明があるんだけど、いったい、いつごろからこういう言い方をするようになったのかがわかんない。
ま、清少納言さんは、言わなかった気がするよ」

「うん。分からないことは、いろいろとあるのう。
ところで、気象庁のページのデータを基に今年の8/25~9/26の間の平均気温、最高気温、最低気温のグラフを作ってみた」


「なるほど。
今年(2012年)は、彼岸入りの9/19を境に急に気温の傾向が変わっていることが分かるわね」

「ちなみに、2010年の同じ時期は、こんな感じじゃ」

「へー。ずいぶん違う感じね。
2010年の時は、お彼岸前に上がっていくものね」
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照度

「秋といえば、灯火親しむの候というような言い方もあるのう。
彼岸を過ぎて、夜の長さが長くなったため、どうしても、明かりを点けないと本を読めないからじゃな」

「電子ブックなら、ま、明かりは、要らないかも」

「それにしても、電子ブックを読みながら自転車をこいだりしている人を二宮金次郎さんが見ると、ビックリするじゃろうな」

「ホント。
さて、照度といえば、単位は、ルックスだっけ」

「燭光と呼ぶものがあったような・・・
しかし、残念ながら、定義を正確に、覚えていないのう」

「そこで、お調べいたしました。
こちらです。ジャジャン。
まずは、『光度』は、カンデラ(cd)という単位です。光源の特定の方向から見た場合の強さを表します。
1カンデラは、周波数540×1012Hzの単色放射を放出し所定の方向の放射強度が1/683(W/sr)である光源の、その方向における光度を言うそうです」

「いやー。
『言うそう』では、全然分からないのう」

「それでは、補足してご説明いたします。
前に記載いたしました定義は、理科年表(国立天文台編:丸善:平成23年版)によるものですが、Wikiによりますと、この540×1012Hzの光は、人間の目がもっとも敏感に感じる光の色だそうです。
で、以前は、白金の凝固点温度(2042度K)の黒体の放射強度を基にしていたものですが、今は、前出のように変わっています。
ここで、Wは、ワットで、仕事の単位で、1W=1J/s、Jは、ジュール。1J=1N・mです。
また、srは、ステラジアンという立体角の単位で、微小面積dSを中心からの距離rの2乗で割ったdφ=dS/r2を表すことになります。
たとえば、中心から1m離れた場所にある1平方cmの面が中心に対して張る立体角は、約 10-4/1=0.0001ステラジアンということになります。また、全球は、4πステラジアンとなります。
ま、ぶっちゃけた話が、1カンデラは、ある種の蝋燭の光の強さを1燭光といったものを厳密に定義すると、このようなややこしいことになったようです」

「ふ~ん。
540×1012Hzの光は、約555ナノメートルという、黄緑色の光じゃな。
光度というのは、一口に言えば、ある方向から光源を見た場合の光の強さの度合いじゃな。
測定位置との距離は、関係がないが、見る方向を変えると光度は変わるかも知れないのじゃな。
違う波長の光だったら、どう比較するんじゃ」

「ギク。
そいつは、その波長を基にして、眼の感度曲線で上記の波長の光の場合に換算するらしいっす」

「ま、とりあえず、先に進もうか。
もう一つ、ルーメンという単位が出てきているのう」

「『光束』の単位ですが、1ルーメンは、1カンデラの光源から1ステラジアン内に放たれる光の量で、ルーメンをlm(エルエム)で表し、1 lm=1cd・srです。
また、この節のタイトルの『照度』の単位である、ルクスは、1平方メートルの面が1ルーメンの光で照らされている場合の明るさを言い、lx(エルエックス)と書きます」

「なるほど。
どの方向から見ても、1カンデラの光源があったとき、光束の合計(全光束)は、1カンデラ×4πステラジアン=4πルーメンということになるのじゃな。
そして、照らされている面の明るさの単位は、ルクスということか。照度は、光源との面との距離で変わってくる。
照度については、大まかな目安として、次の表のようなことが知られているようじゃ。
(大阪市立科学館のWeb(http://www.sci-museum.jp/)より抜粋)」

状態  照度(ルクス)
真夏の海岸、晴天の雪山 10万以上
晴天正午の直射日光下 10万 
晴天午前10時の直射日光下 65000
晴天午後3時の直射日光下 35000
くもりの正午 32000 
くもりの午前10時 25000 
くもりの日の出1時間後 2000 
晴天日没1時間前の直射日光下 1000 
パチンコ店内  1000 
デパート店内  500~700 
事務所  400~500 
夜のアーケード  150~200 
街灯下  50~100 
ライターの火から30cm離れた場所 15 
ロウソクの火から20cm離れた場所 10~15 
市民薄明(太陽天頂距離96度)
月明かり 0.5~1 
航海薄明(太陽天頂距離102度) 0.01 
天文薄明(太陽天頂距離108度) 0.001 

「このなんとか薄明というのはなんでしょう?」

「これは、初耳だったので、Wikiで検索してみたんじゃが、たとえば、太陽の中心が天頂から96度というと、水平線から6度下にある状態(日の出前、日の入り後)の明るさを『市民薄明』(人の顔を区別できない程度の明るさ)あるいは『常用薄明』と呼ぶとのことじゃ。
 他の『航海薄明』(海面と空との境目が区別できない程度の明るさ)や『天文薄明』(空の明るさのため6等星が肉眼で見分けられない程度)も太陽の中心が水平線より、12度下あるいは18度下にある状態を指しているとのことじゃ」
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照度の計算

「どの方向から見ても1カンデラの点光源があるとする。
このとき、光源からh(m)離れた光源に垂直な半径a(m)の円板の平均照度を求めてご覧」


「図のように平面上の光源直下からの距離をrとする。


半径rの位置の幅drの微小面積は、dS=2πr×dr、その微小面積に対する光源の張る立体角は、dS/(h^2+r^2)。
定義より、その立体角に放射される光束(単位:ルーメン)は、1 カンデラ×dS/(h^2+r^2) ステラジアン。
円板全体が受け取る光束の量は、∫2πr/(h^2 + r^2)dr、積分範囲は、0~a。
結果として、πLN((a^2 + h^2)/h^2)なので、平均照度は、これを円板の面積、πa^2で割った、
平均照度=LN((a^2 + h^2)/h^2)/a^2」

「ではないのじゃな!
円板が受け取る光束の量は、上の式では、πLN((a^2 + h^2)/h^2)、この値は、a→∞で、発散してしまうじゃろう。
これは、おかしい。
光源の直下からrだけ離れた位置では、光が斜めに当たることを忘れておるじゃろう」

「あ!。そうか。
光束の量は、cosθ=h/√(h^2+r^2)を掛けたものなのね。
円板全体が受け取る光束の量は、∫2πrh/(h^2 + r^2)3/2dr、積分範囲は、0~a。
よって、2π(√(a^2 + h^2) - h)/√(a^2 + h^2)となるので、円板の面積、πa^2で割って、
平均照度は、2(√(a^2 + h^2) - h)/(a^2√(a^2 + h^2))となり、今回は、その単位は、ルクスとなる」

「そうじゃな。
もし、aがhに比べて、小さいとすれば、1/h^2 - 3a^2/(4h^4)・・ となる。
第1項は、円板の面積πa^2に対して光源が張る立体角がπa^2/h^2となるので、その範囲の光束は、1×(πa^2)/(h^2)ルーメンであり、
平均照度は、これを円板の面積で割った、1/h^2 ルクスとなることから、確かに合っている」

「円板が受け取る光束は、aが∞の極限では、2π(√(a^2 + h^2) - h)/√(a^2 + h^2)→2πとなるので、全光束4πルーメンの1/2となることも納得です」

「とは言え、屋外の街灯などを除くと、部屋には、天井や壁があるから、光源から壁等に当たった光の反射光もあるじゃろう。
反射を考えるには、壁や天井の材質による反射率や吸収率が必要じゃ。なかなか、一筋縄ではいかない。
そこで、実務では、平均照度を次のように求めることが知られている。(電気設備の知識と技術:http://saijiki.sakura.ne.jp/)
平均照度=ランプの光束×ランプ本数×照明率×保守率/面積 。
ここで、照明率とは、まず、室指数をKとして、K=部屋の縦の長さ×横の長さ×高さ/(縦+横)を算出して、ランプのメーカーのカタログ等から照明率を求める。
また、保守率とは、ランプの使用時間数によって、光束が開始時の1から徐々に少なくなる。
すなわち、ランプの劣化度合いを示すものだそうだ。
使用開始時は、保守率が1なので、これで照度を計算すると、時間経過とその明るさが低下してしまう。予め、保守率を交換時点の0.7など(ランプの種類によって異なる)にしておいて設計をしないといけないようだ。
上記のホームページに記載の例では、
面積=30㎡、縦、横、高さが共に約3.1mの立方体の部屋の場合、ランプ本数10本、光束3500ルーメン、照明率0.4、保守率0.7として計算している。
平均照度は、3500ルーメン×10本×0.4×0.7/30㎡≒327ルクスと求められる」

「100ワットの電球の光束は、どうやって求めるのだろう」

「白熱電球では、1ワットあたり15ルーメン程度、シーリングライトやつり下げ式の蛍光灯では、1ワットあたり、だいたい 60ルーメン程度だそうだ。
なので、40ワット+30ワットの蛍光灯では、(40+30)×60=4200ルーメン。
また、前出の平均照度の計算式では、照明率を求めるのがやっかいじゃが、簡易的には、保守率×照明率≒0.4とまとめて仮定して、この場合は、
平均照度≒4200ルーメン×0.4/10.5㎡(8畳間)=210ルクスのように計算するとのことじゃな」

「LEDライトでは、ワットではなくて、ルーメンがカタログや製品に記載されているんだって」

「LEDは、白熱電球や蛍光灯ほど、広い方向に光が出ないので、注意が必要じゃな。
なお、上記のWebは、本当に丁寧に説明がしてあるのう。
その中に紹介されているが、パナソニック電工のホームページ(http://www2.panasonic.biz/es/cec/lplt/top.html)から、
照度計算ソフトをダウンロードできるとのことじゃ。
同社のページには、その他、照明設計のツールやサービスなどが紹介されている。建築などに興味がある方は、のぞいてみると役に立つじゃろう」
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終わりにあたって

ロシア、中国、台湾、韓国と、このところ、日本との間の『領土問題』がやかましくなってきました。
 残念ながら、尖閣諸島問題をめぐる都知事の一連の発言と行動は、本件に大きな影響を及ぼしたと思われます。
 その責任は、軽からずですが、この弱点をうまく突かれてしまった感もあります。
 ここは、遠回りのようでも、まずは、『竹島』や『北方4島』問題を早く片付けるべきでしょう。
 いずれも、50年以上にわたって、韓国あるいはロシアが実効的な支配をしている地域ですから、まるまる、日本に戻る可能性は、限りなくゼロです。

 竹島は、韓国の支配を認めてよいでしょう。
 北方4島は、日本があくまでも4島返還にこだわれば、今後も、とうてい、まとまりますまい。
 2島または1島、あるいは、1/2島の返還でもよいのではないでしょうか。
 竹島の地元市町村、あるいは北方4島の旧島民の方々の反対意見もありますが、いつまでも、それだけを考慮していては、時期を失い、国益にもかないますまい。
 譲るものは譲り、漁業権や海中資源の問題は、交渉の中で解決しましょう。
 そして、韓国との同盟の強化、ロシアとの平和条約締結と友好関係の促進を果たした上で、中国と交渉すべきでしょう。

 韓国、ロシアなどと懸案事情を抱えたままで、中国と対峙するというのは、誰が考えても、無理です。
 ここは、なにより、政治家の英断が求められています。私たちもそれを理解して支持する必要があるでしょう。
 中国は、共産党一党支配の終焉の時がいずれ来るでしょう。また、韓国は、北朝鮮瓦解という危機があるかも知れません。
 ロシアもプーチン体制にほころびが見えます。
 これらの事象が我が国にとって、有利とは限りません。
 しかし、情勢は、常に揺れ動いています。
 私たちは、目の前に見えているものだけを見るのではなく、今は見えないもの、あるいは、やがて見えてくるであろうものを見ながら、冷静に対処するべきです。

 今回もご覧いただき、ありがとうございました。
 また、次回も、本欄で元気にお会いできますことを願っています。
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