会員の皆様へ(2006年11月のご挨拶)

再見!Derive(数式処理ソフト)

目次

 紅葉
 ビルダーのファイルメニューで「名前を付けて保存」が見つからない!?
 数式処理ソフト
 数式処理ソフト Dervie
 Derive 6の印象
 Deriveの参考書
 DOS版とのメニューの比較
 ユーティリティ関数ライブラリの比較
 終わりにあたって
 『DERIVE de ドライブ』に関する追記(2008/9/16)

紅葉

秋は、やはり紅葉ですね。
 そして、紅葉といえば、京都ということで、上掲の写真は、
 京都市左京区浄土寺真如町82の「真正極楽寺(通称 真如堂)」(https://shin-nyo-do.jp/)のもみじです。
 1994年11月頃の撮影です。
 11月とは思えないほど暖かくよく晴れた日でした。

 下の写真は、やはり紅葉の美しいことで知られている「東福寺」(http://www.tofukuji.jp/)です。


 年は、違いますが、やはり11月頃、写したものです。
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ビルダーのファイルメニューで「名前を付けて保存」が見つからない!?

おっととと。
 ホームページビルダー(Ver10)で、いつのまにかファイルメニューの「名前を付けて保存」が見あたりません。
 前は、確かにあったはずなのにと何度見てもありません。
 表示メニューを見てもそれらしき設定変更のメニューがない!(実は、あったのですが、気がつきませんでした・・・)
 結局、再インストールしたものの、ビルダーは賢いですな。
 以前の設定が読み込まれたらしく、インストール直後で、すでに、メニューバーの項目がやけに短くなっています。

 「なんなんだ。これは!」と思わず大声を出してしまいました(恥ずかしい)。
 まあ、どうやら、これで何かの設定が変更された結果かと再度、見直してみたところ、ありました。
 「表示メニュー」の「ツールバー」から「ユーザ定義の設定」を出して「メニューバーのリセット」を行って、ようやく以前の状態に復帰しました。
 メニューバーの項目が多く(というか元の状態に)なりました。
 何かの時にメニューバーを編集してしまったのか(記憶がありませんが)、「メニューバーを簡単化しますか」と聞かれたような気もするし(これまた、記憶が曖昧)、あるいは、ビルダーの更新プログラムの適用時に何らかの変更が加わったのか、今ひとつ、原因は、不明です。
 とにかく、ビルダーの「メニューバーは、編集できる」ということを覚えておかなければ、ということでここに記しておきます。
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数式処理ソフト

数式処理ソフトというものについて、ご存じない方のために簡単にご説明いたしましょう。
 Excelで、セルに「=1/2」という式を入力すると、0.5となり、数値としての計算が行われていることが分かります。
 割り切れないときは、9桁程度の有効桁数で丸められます。
 たとえば、円周率を表す関数「=Pi()」と入力して調べて見ますと9桁目までは正しいのですが、10桁目は、四捨五入されていることが分かります。
 これに対して、数式処理ソフトでは、式の計算過程が原則として、式のまま扱われ、最後に数値を求めない限り、式のままで結果が表示されます。
 また、方程式や不等式を解いたり、関数の微分、積分、グラフの表示、行列や行列式、ベクトル演算などもできます。
 すなわち、紙と鉛筆で計算できることは、ある程度、できるといってしまってもよいでしょう。

 手計算時代に縦横表の数値が合わないという悩みは、LotusやExcelなど表計算ソフトの登場で解消されました。
 数式処理ソフトは、式の演算間違いをできるだけ軽減してくれます。
 日本で容易に入手できる数式処理ソフトの有名なものは、
 「Macsyma(マクシマ)」、
 「Mathematica(マセマティカ)」、
 「Maple(メープル)」、
 「MathCAD(マスキャド)」などがあります。
 Mapleは、それなりの価格(http://www.cybernet.co.jp/ 249,900円)です。
 もっとも、Mathematica(http://www.jip.co.jp/ 407,400円)ですから、Mapleの方が安価ではあります。
 しかし、個人では、いずれも、ためらう価格ですね。

 比較的、手軽なものとして、MathCad(http://www.iti.iwatsu.co.jp/)は、125,000円。
 「カルキング」(http://www.simplex-soft.com/)は、 50,000円などがあります。
 なお、上記の価格は、2006/10現在、Webで調べた価格です。
 アカデミック版があるものは、これよりも、かなり低価格になります。
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数式処理ソフト Dervie

1993年頃、「Derive(デライブ)Ver2.5」を使っていたことがあります。
 MS-DOS上で動作し、当教室にもコースを設けていました(受講者はいらっしゃいませんでしたが・・)
 Deriveは、ハワイ大学で開発され、当時、MS-DOS版は、アメリカのSoft Warehouse社が販売していました。
 日本語版は、SEG出版から入手したように記憶しています。
 その後、1998年頃に、Windows版(Win3.1、95、NTで動作。メニューなどは英語)が出たのですが、入手しないうちにWindowsが95から98、2000へとバージョンアップしたこともあり、とうとう試用するチャンスを逸してしまいました。

 その後、Deriveは、テキサスインスツルメンツ(TI)社から販売されるようになり、TI社のホームページ(http://education.ti.com/)では、しばらく前からVer6となり、Windows XPには対応済みでしたが、同ページからダウンロードできる試用版は、日本語Windows XP上で文字化けなどを起こしてしまいました。
 今回、(株)ナオコ(http://www.naoco.com/)からバージョン6.1の日本語版が、リリースされました。
 直販価格は、シングルユーザ版で、税別 29,800円でした。しばらく前から予告が出ていたため、だいぶ、待っていたのですが、9月半ばに販売が始まり、当方では、9月末に無事入手することができました。
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Derive 6の印象

Windows版のDeriveを使用したことがないため、DOS版との比較をしてみました。
 まず、全体的な画面やメニュー構成は、びっくりするくらい、DOS版と同一との印象を受けました。
 煩雑にユーザインターフェースを変えたがるソフトが多い中で、かたくなに同一のインターフェースを保持することは、むしろ、あっぱれです。
 もちろん、DOS版と異なりショートカットキー中心ではなくて、Windows流にメニュー又はツールバーのボタンをクリックして操作するようにはなっています。
 メニューも日本語化されており、初めてDeriveを操作する方にもずいぶん分かりやすくなりました。

 ただ、残念なことは、依然として、Excelの「関数パレット」のような関数入力を助けるようなインターフェースがなく、覚えていない関数は、ヘルプやマニュアルの関数インデックス(英語)を見て、必要な関数名と引数を入力するしかないことです。
 初等関数は、ともかくとしても、普段使わない特殊関数や微分方程式の解を求める関数などは、その名称と引数とその順序を覚えることは難しく、このことは、本当に惜しいことです。
 せめてボランティアの方に(日本語の)関数パレット類似のものを作っていただき、コピー・ペーストで数式入力欄に貼り付けられるとよいのにと思います。
 (「おまえがやれば・・」という声が聞こえてきそうですが・・)

 下図は、半径 1の球の体積(の8分の1)を計算してみているところです。


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Deriveの参考書

手元にあるものは、次の3つです。
 一つは、DOS版のDERIVE付属の「ユーザマニュアル パーソナルコンピュータによる数式処理システム 改訂2.5版」(入手は1993/8)です。
 これには、英語版の原本も付属していました。
 ただし、一部の章の日本語訳が英語版と異なってる個所がありました。
 この本では、機能毎に例を挙げて、かなり詳しく説明しています。
 下の写真は、DOS版のマニュアル。左は英語版、右が日本語版。

 

 もう1冊は、SEG出版の「Derive for Windowsで楽しむ数式処理 微積分からカオス理論まで」(1998/5/10初版 2,500円+税 臼田昭司・伊藤敏・井上祥司 著)です。
 基本的な機能の説明の後に、物理、化学のトピックスを挙げて、それらをどのようにDeriveで扱うか、そして、扱った結果をグラフを多用して説明している点が特徴です。

 上の写真は、「Derive for Windowsで楽しむ数式処理」。

 最後に今回のソフトに付属の「ユーザマニュアル」(日本語版)と「Introduction to Derive 6」(英語版)、「Reference Guide」(英語版)です。
 残念ながら、和文のユーザマニュアルは、前記のDOS版のものが約250ページだったのに対して、約40ページ+索引という薄さです。
 ただ、前述のようにDOS版と同様のメニュー構成なので、DOS版や先のWindows版を利用していた人は、とまどう点は、少ないでしょう。

 上記の写真は、Derive 6の英語版(左)と右が日本語のユーザーマニュアル。
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DOS版とのメニューの比較

基本的な命令について比較してみました。(2D図形、3D図形のプロット関係は省略)

DOS版のメニュー WINDOWS版 Derive6 のメニュー
Author(数式の入力) 入力
Build(数式の組み立て)   -数式(または数式ウインドウで直接入力・編集)
Calculus(解析) 解析
  Differentiate(微分)   -微分
  Integrate(積分)   -積分
  Limit(極限)   -極限
  Product(数式の積)   -乗積
  Sum(数式の和)   -総和
  Taylor(テイラー級数)   -テイラー展開
Declare(宣言) 入力
  Function(関数の定義)   -関数の定義
  Variable(変数の定義)   -変数の変域
    Domain(変域)
    Value(値)   -変数の値
  Matrix(行列の定義)   -行列
  Vector(ベクトルの定義)   -ベクトル
Expand(展開) 代数
  -展開
Factor(因数分解)   -因数分解
Help(ヘルプ) ヘルプ
Jump(数式の選択) (マウスでクリック)
solve(線形方程式を解く) 解く
  -方程式/不等式/関係式
  -連立方程式
Manage(数式の編集の方法) オプション
  Branch(複素数の分枝)   -モード設定
    -式変形-複素数の分枝
  Exponential(指数関数の展開と整理)     -式変形-指数関数
  Logarithm(対数関数の展開と整理)     -式変形-対数関数
  Ordering(変数の展開順序)     -出力-変数の順序
  Trigonometry(三角関数の展開と整理)     -式変形-三角関数、三角関数のべき
  Substitute(変数への代入) 代数
    -変数の置換
Options オプション
  Color(メニューなどのカラー)   -表示設定
       -背景色、フォント
  Display(表示モード)
  Execute(DOSコマンドの実行) マルチタスク、マルチウインドウなので不要
  Input(文字列式の変数名の使用) オプション
  -モード設定
    -入力-変数、大文字小文字の区別
  Mute(無音)
  Notation(数値の記法) オプション
  -モード設定
    -出力-数の表示-表記
  Precision(桁数)     -出力-数の表示-桁
  Radix(数値の基数)     -出力-数の表示-基数
Plot(2Dまたは3Dプロットの切替) ウインドウ
  -新規2Dウインドウ/3Dウインドウ
Quit(Deriveの終了) ファイル
  -終了
Remove(数式の消去) 編集
  -削除
Simplify(式の簡単化) 代数
  -計算
Transfer
  Load
    Derive(Derive.MTHを読み込み) ファイル
  -開く
    State(設定ファイルの読み込み)
    Utility(MATHファイルの読み込み)   -読み込み
    -ユーティリティファイル
  Save ファイル
    Derive(保存)   -名前を付けて保存/上書き保存
    Basic(Basic形式ファイルとして保存)   -書き込み
    -Basic
    Fortran(フォートラン形式として保存)     -Fortran
    Pascal(Pascal形式で保存)     -Pascal
         -C
    Options(数式の範囲と長さを指定)   -名前を付けて保存/上書き保存
    -保存/数式
  Merge(Deriveファイルを挿入)
  Clear(数式ウインドウの表示を消す) 数式ウインドウの左の×またはShift+DEL
  Demo(デモファイルを実行) ファイル
  -読み込み
    -デモファイル
  Print ファイル
    Printer(印刷する)   -印刷
    File(ファイルに書き込む)   -書き込み
    -リッチテキストフォーマット
    Layout(ページ設定)   -ページ設定
    Options(強調印字など) オプション
  -印刷設定
Move(数式の移動) 編集
  -切り取りと貼り付け
ファイル
  -TI電卓
    -インポート
    -エクスポート
編集
  -数式の注釈
  -OLEオブジェクトへのリンク
  -テキスト又はグラフ
挿入
  -テキスト
  -2Dグラフ
  -3Dグラフ
  -オブジェクト
代数
  -式の置き換え
解析
  -数列の作成
  -数列の作成(表)

こうやってみてみると、あまり大きな違いは、感じられません。
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ユーティリティ関数ライブラリの比較

同様に既定では、読み込まれない、主なユーティリティ関数ライブラリを比較してみましょう。

DOS WINDOWS Derive 6
SOLVE(非線形な連立方程式の複素解) EquationSolving.
VECTOR(ベクトルと行列関数) VectorMatrixFunctions
LinearAlgebra
NUMERIC(数値微分と数値積分) NumericalApproximation
DIF_APPS(微分の応用) DifferentiationApplications
INT_APPS(積分の応用) IntegrationApplications
ODE1(1階常微分方程式) FirstOrderODEs
ODE2(2階常微分方程式) SecondOrderODES
ODE_APPR(常微分方程式の数値解法) ODEApproximation
RECUREQN(漸化式) RecurrenceEquations
APPROX(Pade近似) RationalApproximation
EXP_INT(指数、対数、三角関数の積分) ExponentialIntegrals
PROBABIL(確率関数) ProbabilityFunctions
FRESNEL(フレネル積分) FresnelIntegrals
BESSEL(ベッセル関数とAiry関数) BesselFunctions
HYPERGEO(超幾何関数) HypergeometricFunctions
ELLIPTIC(楕円関数) EllipticIntegrals
ORTH_POL(直交多項式) OrthogonalPolynomials
ZETA(ツェータ、多重対極、2重対数関数) ZetaFunctions
GRAPHICS(空間曲線と複素関数のプロット) GraphicsFunctions
MISC(その他のユーティリティ関数) MiscellaneousFunctions
CombinatorialFunctions
NumberTheoryFunctions

これも、ほぼ、同じですが、名称は、より分かりやすくなっています。
DOSの時代は、8文字に収める必要があったため、わかりにくかったのでしょう。
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終わりにあたって

 だいぶ、寒くなってきました。インフルエンザの予防接種もそろそろ始まったと思います。
 風邪など引かれぬよう、お元気でお過ごし下さい。
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『DERIVE de ドライブ』に関する追記(2008/9/16)

数式処理ソフト「DERIVE」で遊ぼう、ということで、「DERIVE de ドライブ」という連載記事を掲載しています。
ご興味のございます方は、上のリンクより、メニューにお進み下さい。
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