数式処理ソフト DERIVE(デライブ) de ドライブ

21.微分

「微分とは微かに分かる、とも言うのう」

「微分は、高校で習うわね」

「まあ、そうじゃろう。微分は、普通は、グラフの傾き(接線)を求めるために、微分係数として導入するという方法になるんじゃろうな。
歴史的には、物体の運動の分析という観点から運動方程式の表現方法として、微分法がニュートンにより発見されたのじゃが、独立にライプニッツらも同様の考え方に達していたそうじゃな。
わしらが今使っている、dy/dxのような記法は、ライプニッツによると言われている。ライプニッツは、「解析の秘密はその記法にある」という名言を残しているのじゃよ」

「ニュートンの記法は、どんなものだったの?」

「xの微分は、xの上にドットを付けるという記法じゃったそうだな。今でも物理の方で使われることもある。
ニュートンは、もっぱら、時間による微分を考えていたということもあるじゃろうが、ライプニッツの記法の方が優れていることは、確かじゃな」

「数式処理ソフト DERIVE(デライブ)では、どうするのかしら?」

「微分したい関数を入力して、「解析」メニューから「微分」を選択するのじゃ。
ダイアログボックスで何階微分かを指定すればよい」

「命令式というボタンは、なにかしら?」

「これは、すぐに結果を計算せずに今ここで出てきたd/dx関数というような記法で式を表現するためのものじゃな。
計算(=)を指示すれば、結果は、同じじゃ」

「何か例題がないかしら」

「いくつか、出してみようか。まずは、微分とは、無関係じゃがの。
第1問 平面上に2つの円がある。2つの円の下端は、x軸に接しており、また、2つの円同士は、1点で接しているという。
このときの2円の中心間の水平距離を求めよ」

「えーと。2円をAとBで表す。
それぞれの半径を aとbとする。a≦bとしても一般性は失われない。
2円の方程式は、Aの中心のx座標が原点であるとして、x^2+(y-a)^2=a^2、(x-c)^2+(y-b)^2=b^2、ここで2円ともx軸の上にあるとしている。
この式からまず、xを求めてyの2次方程式にして、判別式がゼロという条件から、c=2√abとなるのでこれが正解」

「そのとおり。続いて第2問。第1問で接している点における接線の傾きは、いくつか?」

「接点は、円Aの中心(0,a)とBの中心(c,b)を通る直線上なので、まず、直線の方程式を立ててから、接点の座標値は、( 2√ba^(3/2)/(a + b),2ab/(a + b))となるわ。そこでと、円Aの方程式をxで微分すると・・あらら」

「うん。そのまま微分するとyがxの関数ということが伝わっていないので、yの微分がゼロになってしまうのう。
今の例では、2円の中心を結ぶ直線と接線は直交する。直線の傾きは、(b - a)/(2√a√b)なので、これに直交する接線の傾きは、-2√ab/(b-a)となる」

「検算は?」

「この例では、円Aの方程式は、yについて解くと2価になってやっかいじゃが、xについては、1価関数になる。接点のdx/dyを求めれば、よいじゃろう」

「なるほど。dy/dx=1/(dx/dy)か。確かにライプニッツさんの言うことが分るわ」

「では、第3問。地球の周りを地上からの高度hで人工衛星が真円軌道を描いて回っている。
人工衛星に働く加速度を求めよ。ただし、重力定数は、G、地球は半径Rの球とする。」

「人工衛星の質量をm1、地球の質量をm2とすると、人工衛星に働く力は、地球の中心に向かって、万有引力 F=Gm1m2/(h+R)^2。この力と遠心力が釣り合うので、遠心力=m1×αでαが加速度で、α=Gm2/(h+R)^2となるのかしら?」

「もし、h=0とすると、α=Gm2/R^2≒9.799となるので、よく知っている地球表面での重力加速度、約9.8 m/s^2と合ってるのう」

「運動方程式からは、どうなるのかしら?」

「そうだの。平面座標で考えると地球の中心を原点とした適当な直交座標では、mx''=Fx、my''=Fy、ここで、Fx、Fyは、x及びy軸方向の力の成分じゃ。
回転の向きは、反時計回りとして回転の角度をθとする。中心からの距離をrとすると、x=rcosθ、y=rsinθである。
DERIVEでは、関数の定義でx(r,θ)=rcosθ、y(r,θ)=rsinθと定義する。更にr(t)、とθ(t)を定義する。
rとθは、定義式は入れないが、引数を時間tとしておく。
mx''=Fx、my''=Fyから、COS(θ(t))(r''(t) - r(t)θ'(t)^2) - SIN(θ(t))(2θ'(t)r'(t) + r(t)θ''(t))=Fx/m
COS(θ(t))(2θ'(t)r'(t) + r(t)θ''(t)) + SIN(θ(t))(r''(t) - r(t)θ'(t)^2)=Fy/m
更に、Fr=Fxcosθ+Fysinθ、Fθ=-Fycosθ+Fxsinθであるから、FxとFyを求めて、上式に入れて、FrとFθを求めると、
m(r''(t) - r(t)θ'(t)^2)=Fr、 - m(2θ'(t)r'(t) + r(t)θ''(t))=Fθとなる。これが極座標での運動方程式じゃよ」

「今回のケースでは、Fθ=0から、ω(t)×r(t)^2=一定になる。
ωtとするとθ方向の式は、恒等式となるのね。r方向では、-ω^2(h+R)=-Gm2/(h+R)^2だから、
ω = √(Gm2/(h + R)^3)となるわ」

「静止衛星とするには、どうしたらよいかな?」

「周期が1日というので、2π/ω=24*3600秒とすればよいので、h≒3.58×10^4Kmとなるわ」

「これが静止衛星は、地上約36000キロメートルの上空にあるということじゃよ」